3月22日、スマートフォンは米アップルのiPhoneが従来の殻を打ち破ってから10年近くが経過し、ついに進化が終わったのではないかとの声も聞かれる。写真は新型iPhone SE。カリフォルニア州アップル本社で21日撮影(2016年 ロイター/Stephen Lam)
[フランクフルト 22日 ロイター] - スマートフォンは米アップルの「iPhone(アイフォーン)」が従来の殻を打ち破ってから10年近くが経過し、ついに進化が終わったのではないかとの声も聞かれる。アップルですら目新しさに乏しい小型の4インチスマホを新型と位置付けるありさまだ。
専門家は、スマホ発の技術革新は携帯機器にとどまらず、その機能は自動車や冷蔵庫から腕時計、果ては宝飾品まであらゆる種類の新製品においてソフトウエアやサービスの形で花を開かせるとみている。
またアナリストや設計者は、新たな飛躍的進歩にとってはスクリーンサイズ、電池寿命、通信網の容量など現在のスマホが直面するハードウエア面の制約が課題になると指摘している。
ノキアの携帯電話でテキストメッセージ用キーボードの開発に携わり、ウエアラブル端末向けソフト開発会社を経営するクリスチャン・リンドホルム氏は「今スマホ業界はすべての動きが小幅にとどまっている。速度、大きさ、データ容量、処理速度などの改善はどれもわずかずつだ」と述べた。
アップル、グーグル、マイクロソフトの業界3強は「携帯機器不要」の時代に向けて先陣を切ろうと躍起になっているだろう。多くの企業はタッチ機能、視覚、音などを通じて消費者がより広い世界とつながる新たな手法の開発に取り組んでいる。
こうした取り組みの1つが音声による操作支援機能で、マイクロフォンを内蔵し音声で操作可能な「スマートネックレス」などがある。
大手各社は「グーグル・ナウ」、「アップルSiri」、「マイクロソフト・コルタナ」、「アマゾン・アレクサ」などを打ち出し、こうした分野で既に一定の成果を上げている。
リンドホルム氏は、スマホの機能はエンターテインメント用に大型スクリーンを備えた機器と、個人のスケジュールや健康管理、支払いなどに利用される小型ウエアラブル機器の2つの分野に分化するとみている。
UBSのアナリストチームによると、スマホメーカーの今年の売上高は3230億ドル強と、前年比1.4%減少する見通しだ。またストラテジー・アナリティクスによると、アップルは業界全体の売上高の半分、利益の4分の3を占めている。
こうした中、アップルがアイフォーンの売上高減少に歯止めを掛けるために新型「SE」を発表するなど、大手各社は対応に務めている。
スマホはデジタル時代における「スイス・アーミーナイフ」になった。消費者の注目点は目を引くような美しいスクリーンからアプリやサービス、インターネット関連サービスに移った。
スマホに代わるプラットホームは、電池寿命など厄介な問題を解決しなければならない。消費者がビデオを視聴する時間が伸びているだけに、電池の機能は差し迫った課題だ。
次世代の大型機器にとっては、さまざまな環境で利用可能な、より柔軟性の高いスクリーンも不可欠だ。
金融アナリストのリチャード・ウインザー氏は、最大10─14インチに広げられるフレキシブルディスプレーが開発されれば、スマホはスクリーンサイズの制約から自由になるとの見方を示した。
(Eric Auchard記者)
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