4月13日、北朝鮮は午前7時40分ごろ、予告していた弾道ロケットを発射したが、1分以上飛んだ後に黄海に落下したもよう。写真は8日撮影(2012年 ロイター/Bobby Yip)
[東京 13日 ロイター] 北朝鮮は13日午前7時40分ごろ、予告していた弾道ロケットを発射し、ロケットは1分以上飛んだ後、空中で分解し黄海に落下した。
日本政府は落下物による国内への影響はないと発表。藤村修官房長官が国民に冷静な対応を呼びかけた。
政府は午前8時40分に続き、午前11時からも安全保障会議を開催し、情報の分析と今後の対応について協議を進めた。藤村官房長官は2回目の安全保障会議の後に「けさ北朝鮮が発射した飛翔体は、同国が人工衛星と称するミサイルと確認した」と発表した。
<ロケットは空中で分解、韓国西方の洋上に落下>
日米韓当局の発表やメディアの報道によると、米国の早期警戒衛星が13日午前7時40分過ぎ、北朝鮮がロケットを発射したとの情報を確認した。韓国国防省は、ロケットは発射直後に空中で約20個に分解した後、韓国西方の洋上に落下したと発表。落下物による日本への影響は確認されていない。
韓国国防省の報道官はソウルで記者団に対し「韓国と米国の当局者は北朝鮮のミサイル発射が失敗に終わったと理解している」と語った。藤村官房長官も「失敗したという判断だ」と述べている。
北朝鮮の朝鮮中央通信(KCNA)は、朝方打ち上げた衛星を乗せたロケットは軌道に乗らなかったと伝え、発射は失敗だったとする海外の見方を確認した。
KCNAは「科学者や技術者が失敗の原因を究明している」と伝えた。
<厳重に抗議と声明、関係国と連携強化>
米ホワイトハウスは、北朝鮮のロケット発射について、失敗しても「挑発的」行為であり、国際法に違反すると批判。インタファクス通信によると、ロシア外務省高官も、北朝鮮のロケット発射は国連安全保障理事会の決議と相反する行為だと批判した。
日本政府も外交ルートを通じて抗議すると同時に、「わが国を含む地域の平和と安定を損なう安全保障上の重大な挑発行為」であり、「このような行為は国連安保理決議などに明確に違反する。わが国としては容認できず、厳重に抗議し、遺憾の意を表明する」との官房長官声明を発表した。
野田佳彦首相は2回目の安全保障会議で、北朝鮮によるミサイル発射は明確な国連安全保障理事会決議違反とし、安保理での対応を含めて関係国と連携を図るよう指示した。
複数の外交筋は13日、国連安全保障理事会が会合を開き、北朝鮮のロケット発射について対応を協議するとしている。
藤村官房長官は、ミサイル発射を受けた北朝鮮への制裁措置について、米韓中ロなどの関係国や国連安保理など国際社会の動きを踏まえ、「総合的に勘案して引き続き検討する」としている。
<北朝鮮の内政への影響を注視>
野田佳彦首相は、この日1回目の安全保障会議で、1)情報収集に努めること、2)国民への情報提供に全力を尽くすこと、3)関係国との連携強化を図ることを指示。2回目の安全保障会議では、これを踏まえて「引き続き関係省庁一体となって対応にあたること」、「今後の北朝鮮の動向について、情報収集・分析に全力をあげること」を指示した。
ある防衛省筋はロイターに対し、今回の失敗が北朝鮮の国威失墜につながる可能性があるとし、金正恩氏を「第1書記」とする新体制の「信用回復」に向けた核実験やミサイルの再発射など「次」の動きに備えて警戒感を強めていることを明らかにした。
藤村官房長官は、今後の北朝鮮の動向に関して「安保会議でも(発射が)失敗したということが北朝鮮内の内政にどう影響するか、情報収集が必要との意見が出ており、十分に情報収集する」としている。
<市場は冷静、影響は限定的>
北朝鮮のロケット発射について、金融市場への影響は限定的となっている。為替市場で円売りは強まらず、日経平均<.N225>は大幅高となった米株を好感し買い先行となった。円債先物も緩和期待で底堅い動き。市場では「不透明要因が1つ解消された。株式市場に特に影響はない」(しんきんアセットマネジメント・投信運用部・投信グループ長の藤原直樹氏)との声が出ている。
「国内投資家がメーンプレーヤーの円債市場に直接的影響はないだろう。影響があるとすれば、為替や株式を通じた動きだが、グローバルなマネーフローの流れの中で、地政学リスクを背景にした東アジアからの資金逃避も想定しにくい」(みずほ証券金融市場調査部長、三浦哲也氏)という。
(ロイターニュース 伊藤純夫、吉池威、翻訳チーム、金融マーケットチーム、石田仁志;編集 内田慎一)
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