[東京 15日 ロイター] - 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は15日、次世代電池として期待されている「全固体電池」の早期実用化に向け、産学連携の研究開発プロジェクトを立ち上げたと発表した。全固体電池は開発競争が激化しており、オールジャパンで取り組むことで、競争力を強化したい考えだ。
会見したNEDOの佐藤嘉晃理事は「全固体電池の開発では日本はまだ大きなリードがあると思っているが、他の国々も精力的に研究開発を進めており、開発競争の激化が予想される」と危機感をにじませた。
プロジェクトには、トヨタ自動車7203.Tやパナソニック6752.T、旭化成3407.Tなど自動車・電池・材料メーカー23社と大学・公的研究機関15法人が参加。業種の垣根を越えた研究開発体制を構築し、日本主導による国際規格化も目指す。
パナソニック資源・エネルギー研究所の藤井映志所長は「海外メーカーに絶対に負けることはできない」とプロジェクトに期待感を示した。
全固体電池は液体を使わないため安全性が高いうえ、容量が大きく、充電時間も短縮できることから、電気自動車(EV)向け電池としての利用が期待されている。
ただ、期待通りの性能を出すためには解決すべき課題が多いうえ、セルの構造や材料構成、製造プロセスなどの基本コンセプトも固まっていないため、「研究開発が非効率に進められている状況にある」(NEDO)という。
トヨタ自動車電池材料技術・研究部の射場英紀担当部長はオールジャパンについて「グローバルに最適なパートナーがいれば連携するが、全固体電池は明らかに日本に優位性があるので、オールジャパンで組むのが最適だ」と説明。「必要な特許は共有したい」と語った。
志田義寧
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