[北京 15日 ロイター] - 中国全国人民代表大会(全人代、国会に相当)は15日、外商投資法を可決した。対米貿易摩擦の解消に取り組む中国が、外資企業に国内事業環境の透明性確保を約束する内容となっているが、その実効性には懐疑的な見方がある。
同法案は、合弁事業や100%外資出資企業に関する既存の規則に取って代わるもので、中国の投資環境を巡る外国企業の懸念に対応した措置。
今月の全人代でのスピード成立となった。国営メディアによると2020年1月1日に発効する。
直近の草案によると、外商投資法は中国側への技術移転の強要や外資の事業に対する政府の違法な「介入」を禁止している。全文はまだ正式に公表されていない。
これまでの草案では法に違反した当局者に対する刑事処罰の規定があった。今週国営メディアが報じたところによると、土壇場の修正でこの規定が強化された。
米中通商協議では中国企業を不当に優遇しているとされる慣行や政策が焦点となっており、米側は是正を要求してきた。国内産業向けの補助金や外資企業の市場アクセスに対する制限、知的財産権の侵害などが含まれる。
米中ビジネス協議会の中国業務担当バイスプレジデント、ジェイコブ・パーカー氏は、「外資企業の機密情報の共有に対する刑罰を規定する文言が加えられたことで、偽造や知財窃盗に対する抑止力が大幅に高まった」と評価。
ただ、「刑事責任に関する規定は前向きな動きだが、実施するのは難しいだろう」とした。
在中米国商工会議所は今週出した声明で、「外資の投資環境改善への立法上の取り組み」は基本的に歓迎するとした上で「産業界の利害関係者からのインプットや広範な協議がないままでこのように重要で広く影響が及ぶ可能性がある法案を成立させることについては懸念している」とした。
*内容を追加しました。
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