April 24, 2019 / 2:43 AM / a month ago

コラム:競合社を顧客に、トヨタとVWの中国戦略で業界一変も

[香港 23日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 自動車世界大手の独フォルクスワーゲン(VW)(VOWG_p.DE)とトヨタ自動車(7203.T)は中国でともに、新興の競合相手を電気自動車(EV)関連技術の販売相手に変えてしまうという戦略を採用している。

 4月23日、自動車世界大手の独フォルクスワーゲン(VW)とトヨタ自動車は中国でともに、新興の競合相手を電気自動車(EV)関連技術の販売相手に変えてしまうという戦略を採用している。広州市で2017年11月撮影(2019 ロイター/Bobby Yip)

数多くの新興企業が中国の自動車市場に参入しているため、スケールメリットを獲得できる賢明なやり方だ。

VWは今後10年間に2200万台の純粋なEVを生産する計画で、その半分以上が中国で生産される。同時に、EV用プラットフォーム「MEB」を他のメーカーが使用することも可能にする。

一方、トヨタは電動車関連技術の特許を使用する権利を無償で提供し、有償で技術支援も行うほか、中国のEVスタートアップ奇点汽車(Singulato)にEV技術を販売することでも合意した。

新興企業は研究や工場に多額の投資をすることを避けるために、既製のハードウエアや既存の技術を購入することを選ぶかもしれない。新興企業が業界大手の技術を手に入れれば、有力な競合社となる可能性がある。

しかし、この戦略は寛大というよりむしろ、抜け目がないといえる。

この戦略により、新しい技術からさらに収入を搾り出すことができる。電動車の販売台数はまだ控えめなので、これは歓迎されるだろう。野村によると、2018年の世界自動車市場に占める純粋なEVの割合はわずか1.6%で、ハイブリッド車(HV)は3.1%だった。

同時に、この戦略によって、商品開発と生産に関する、回収不能な「埋没費用」が正当化される。技術を外販することで取扱量が増え、部品や設備、エンジニアのコストが下がる。トヨタの場合では、生産中止となった車種のデザインを再利用することも可能にした。

このやり方が広がれば、業界は一変するだろう。工場では委託生産へのシフトが進み、有名自動車ブランドはデザインスタジオになる。一部の新興企業は既に新しいやり方にシフトしている。中国のEVメーカー、ニオ(蔚来汽車)(NIO.N)は国有自動車の安徽江淮汽車集団(JAC)に生産を委託。新興EVメーカーの小鵬汽車も生産を委託している。

最終的には、業界標準を確立するという成果が期待できる。VWとトヨタは自社デザインを可能な限り広めることで電動車のサプライチェーン(供給網)の主要部分を支配する可能性がある。

台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業もスマホで同様の戦略をとってきた。十分な数の現地企業がトヨタやVWの技術を採用することになれば、中国全土における事実上の標準を確立できるかもしれない。中国のスマホ市場で米グーグルの基本ソフト(OS)アンドロイドが標準となったように。競合社に近道を提供するのはリスクを伴うが、模索する価値のある手法のようだ。

●背景となるニュース

*VWは2028年までの10年間で、世界で合計2200万台のEVを販売する目標を打ち出した。中国での販売1160万台を含む。

*VWは自社ブランドのEVを生産するだけでなく、EVプラットフォーム「MEB」を他のメーカーに提供する。中国では2つの合弁工場で2020年からMEBの生産を開始する。[nL3N20Z3HM]

*トヨタはEVスタートアップの奇点汽車(Singulato)にEV技術を販売することで合意。[nL3N21X2HD]その見返りにトヨタは、EVとプラグインハイブリッド車向けの中国の新たなクオータ制度の下で奇点汽車が生み出す「グリーンカー」クレジットを優先的に購入する権利を得る。

*トヨタは4月3日、自社のハイブリッド車(HV)など電動車関連技術の特許を使用する権利を無償で提供すると発表した。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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