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コラム:トレーダー出身コーン氏、次期FRB議長に適さない訳
2017年7月13日 / 02:06 / 4ヶ月前

コラム:トレーダー出身コーン氏、次期FRB議長に適さない訳

[ワシントン 12日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米政治情報サイトのポリティコがイエレン連邦準備理事会(FRB)議長の有力な後任候補と伝えたゲーリー・コーン氏は、主にトレーディングの世界に身を置いてきた人物で、熟練したエコノミストではない。FRB議長職は慎重な判断や物言いが求められることを考えると適任とは言えず、トランプ大統領以外の政権なら議長候補に浮上することはなかっただろう。

 7月12日、米政治情報サイトのポリティコがイエレンFRB議長の有力な後任候補と伝えたゲーリー・コーン氏(写真)は、主にトレーディングの世界に身を置いてきた人物で、熟練したエコノミストではない。ワシントンで6月撮影(2016年 ロイター/Joshua Roberts)

コーン氏は政界とはほとんど無縁のまま、トランプ政権でいきなり米国家経済会議(NEC)委員長に就いた。25年間におよぶゴールドマン・サックス(GS.N)での勤務で金融の才幹を磨き、この経験が買われての政権入りだった。指名承認の議会公聴会で学校のカリキュラムに関する基本的な質問ですら答えに窮したデボス教育長官と比べれば、その腕前は際立っている。

もっとも、コーン氏をFRB議長に据えれば異例の人事となる。この40年間以上にわたり、FRB議長にはエコノミストが就き、少なくとも2期(1期4年)の任期を務め上げてきた。イエレン氏は、トランプ氏から再指名を受けなければ1期での退任となる。任期が1期にとどまり、エコノミストでもなかった直近のFRB議長はジミー・カーター大統領政権下のウィリアム・ミラー氏。テキストロン社の最高経営責任者(CEO)からの転身だった。高インフレの中、ミラー氏の政策でドルは急落し、在任期間はわずか1年強だった。

コーン氏はゴールドマンでは在職期間の大半をトレーダーとして過ごした。傘下のコモディティ部門Jアーロンから、ゴールドマン本体に移り、債券・株式・グローバルセキュリティー部門の責任者を務め、その後社長に就任した経歴を持つ。ゴールドマンは投資銀行としてはトップクラスで、攻めに攻めまくる社風はコーン氏の性格に合っている。

一方、中央銀行であるFRBの運営はもっと落ち着き払っていなければならない。スタッフは博士号を有するつわものばかりで、さまざまなモデルを綿密に駆使し、成長や雇用について分析する。連邦公開市場委員会(FOMC)後の会見内容は手間暇かけて作成される。これまでの議長と同じように、イエレン氏も注意深く言葉を選ぶ。少しでも意外性をにじませれば、市場を動揺させると分かっているからだ。

イエレン氏の前任のバーナンキ氏はこの点を思い知っている。バーナンキ氏が2013年に国債買い入れ縮小の可能性に言及し、米国債利回りが跳ね上がった事件は「テーパータントラム」として知られる。物言いが大雑把なコーン氏がFRB議長になれば、自身で息が詰まるだろう。市場からすれば、もっと退屈な人物が議長に就任する方が望ましい。

●背景となるニュース

*米政治情報サイトのポリティコは11日、イエレンFRB議長の有力な後任候補に米国家経済会議(NEC)のゲーリー・コーン委員長が浮上したと伝えた。コーン氏はゴールドマン・サックスで社長を務めた経験を持つ。

*イエレン氏のFRB議長としての任期は2018年2月に切れるが、理事としての任期は2024年まである。

*近年のFRB議長は最低でも2期(1期4年)を務める例が大半。コーン氏が議長に指名されれば、約40年ぶりにエコノミストではないFRB議長が誕生する。エコノミスト以外がFRB議長に就いた直近の事例はカーター大統領時代のウィリアム・ミラー氏で、在任期間はわずか1年強だった。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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