[東京 2日 ロイター] -
<楽天証券 チーフストラテジスト 窪田真之氏>
きょうの株安は上昇ピッチの速さを警戒した利益確定売りによるものだろう。直近では米国経済のソフトランディング(軟着陸)期待や国内でのリオープン(経済再開)による内需回復で底堅い動きをみせていた。ただ、米経済のハードランディング(強硬着陸)への見方が完全になくなったわけではない。楽観論と悲観論が交錯する中、上昇ピッチへの警戒感が高まり、米国債の格下げのニュースをきっかけに利益確定売りが強まったとみている。
米国債の格下げを巡っては、ドルの信認が揺らいでしまうという話であれば世界的にリスクオフムードが広がるだろう。ただ、債務不履行(デフォルト)を含む米財政懸念はこれまでも繰り返している話だ。為替も急激にドル安/円高に傾いているわけではないため、本気で警戒している市場関係者は少ないとみている。ただ、積極的に買えるような地合いでもなく、いったん利益確定売りの流れが優勢になりやすい。
今後は、米国経済や中国経済に関する材料に反応しやすいだろう。米連邦準備理事会(FRB)は9月の追加利上げを見送るとの見方が優勢となっているが、パウエルFRB議長などから市場がより確信を深めるような発言があると、安心感が広がりやすい。一方、中国経済の減速が確認されるような指標数値などが出ると、不安が広がりやすい。
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