アングル:米司法省反トラスト部門の疑念、Tモバイルのスプリント買収に影

ロイター編集
アングル:米司法省反トラスト部門の疑念、Tモバイルのスプリント買収に影
 4月18日、米携帯電話大手TモバイルUSがスプリントを260億ドルで買収する計画は、米国の反トラスト当局の承認を得るためにワイヤレス技術とメディアストリーミングを巡る状況の変化を当てにしたものだが、その賭けは現在、危ういもののように見える。写真は昨年4月撮影(2019年 ロイター/Dado Ruvic)
[18日 ロイター] - 米携帯電話大手TモバイルUSがスプリントを260億ドルで買収する計画は、米国の反トラスト当局の承認を得るためにワイヤレス技術とメディアストリーミングを巡る状況の変化を当てにしたものだが、その賭けは現在、危ういもののように見える。
米司法省の反トラスト部門のスタッフは、合併が市場の競争に与える影響について懐疑的な見方を強めており、計画を巡る両社の決意が試されることになる。
関係筋が今週明らかにしたところによると、米司法省は買収計画を承認するかどうかまだ決定していないが、両社の合併が米国の消費者の利益になることを示す証拠を示すよう両社に求めている。
買収が完了すれば、1億2700万の顧客を持つ通信事業者が誕生し、業界首位および2位であるベライゾン・コミュニケーションズとAT&Tにとって、より強力な競争相手となる。
モフェットネイサンソンのシニアアナリスト、クレイグ・モフェット氏はノートの中で「買収の可能性がコイン投げよりも低いことを認める時だ」と述べた。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が現在の形で合併計画が承認される可能性は低いと報じた後、スプリント株は6%超下落した。ただ、TモバイルのレジャーCEOは、司法省が現在の形での合併計画が承認される可能性は低いと伝えてきたという報道は「真実ではない」とツイッターに投稿した。
スプリントとTモバイルは、前回合併を試みた2014年以降に米国のワイヤレス通信業界が大きく変化したと主張している。
具体的には、超高速の5Gネットワークの開発、債務負担が拡大したスプリントが自力での事業運営に苦戦していること、AT&Tによる850億ドルでのタイム・ワーナー買収に象徴されるような通信インフラとメディアプロダクションの融合が挙げられる。
これらの変化や、現在の司法省反トラスト部門のトップであるマカン・デルラヒム氏が歴代のトップよりも買収について寛大な見方を示すとにらんだ両社は昨年、自信を持って合併に向けて新たな一手を打った。
しかし、司法省反トラスト部門のスタッフは懐疑的な姿勢を示している。関係筋によると、彼らはスプリントが単独企業としてどの程度の困難に直面しているのか、両社の無線ネットワーク統合計画、および両社が計画している5Gネットワーク構築に向けた合併の利点について、より多くの情報を求めているという。
また、関係筋によると、Tモバイルは消費者向けの値下げも非常に効率的に行ってきており、司法省内にはスプリントとの合併後もこれが続くかどうか疑問視する声もあるという。
<ライバルとの戦い>
ソフトバンクグループ<9984.T>が過半を保有するスプリントは、ライバルに遅れずに付いていくことに苦戦しており、着実にライバルから市場シェアを奪っているTモバイルと歩調を合わせるための値下げにもかかわらず、キャッシュと契約者を失い続けている。Tモバイルはドイツテレコムが過半を保有している。
同時に、中国が5Gネットワークの開発に巨額の資金を注ぎ込む中、トランプ米政権は米国での5Gネットワークの展開を優先するようになっている。
また、AT&Tによるタイム・ワーナー買収、Tモバイルとスプリントに対抗するためワイヤレスサービスを開発したコムキャストとチャーター・コミュニケーションズは、一部通信会社がワイヤレスプランとストリーミングビデオコンテンツを含む他のサービスをセットにする能力を高めた。
このため、Tモバイルとスプリントは自社のネットワークへの投資を増やすよう圧力をかけられている。両社が合併によって規模を拡大すれば、さらなる投資が可能になる。
Tモバイルは2017年にケーブルテレビ会社「Layer3TV」を買収し、18年には独自のテレビサービスを開始した。両社は規制当局に対し、コンテンツとワイヤレスプランを組み合わせることで、合併新会社は、AT&Tのように組み合わせサービスを提供する企業に対抗できる手ごわい競争相手になれると主張している。

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