11月27日、東南アジア諸国の第3・四半期GDPを受けて景気の減速局面は終わったとの楽観論に拍車が掛かっているが、各国の政策当局者とっては高水準の債務と輸出の悪化が成長維持する上での課題になりそうだ。写真はマニラ南部の造船所で貨物コンテナの位置を調整する作業員。7月撮影(2015年 ロイター/Romeo Ranoco)
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[ジャカルタ 27日 ロイター] - 東南アジア諸国の第3・四半期の国内総生産(GDP)の発表を受けて景気の減速局面は終わったとの楽観論に拍車が掛かっている。
しかし、米国が利上げに踏み切る中で、各国の政策当局者とっては高水準の債務と輸出の悪化が成長のモメンタム(勢い)を維持する上での課題になりそうだ。
フィリピンの第3・四半期GDPは前年同期比6%増となり、第2・四半期の5.8%増から成長が加速した。
キャピタル・エコノミクスによると、経済規模で東南アジア上位2位のインドネシアとタイでも前年比の成長率はともに上向いており、人口約5億人、合計域内総生産2兆2000億ドルの経済圏の加重平均成長率は約4.2%に達した。
成長率や消費心理の統計改善を受け、早くもバンコクやジャカルタの当局者たちは、2009年の危機以降で最悪の景気減速期が終わったとの見方を強めている。
インドネシア中央銀行のアグス・マルトワルドヨ総裁は「第3・四半期の成長は1つの転換点だ」と話す。 しかし、エコノミストや企業関係者はこれほど楽観的な見方はしていない。
ともにアジアを代表する経済大国である中国の景気減速と日本のリセッションに加えて、個人や企業の高水準の国内債務比率や、米国が利上げに踏み切った際の市場の混乱リスクなどが、いずれも先行きに暗い影を落としているからだ。
HSBCのエコノミスト、ジョセフ・インカルカテラ氏(シンガポール)は「まだ底打ちと言うには早過ぎる。第4・四半期の成長率はどの国でも悪化すると予想している」と話す。
<輸出の落ち込み>
第3・四半期の成長率は、一部の国における輸出の伸びというよりは、輸入の落ち込みに支えられた見せかけの数字だった。
インドネシアの第3・四半期は前年同期比4.7%成長を記録した。輸出は0.7%減少したが、輸入が6.1%減少する中で外需は依然として全体の成長率のうち1.2%ポイント分寄与した。
インドネシアの総輸出の約半分を占める商品の価格下落で輸出収入の伸びが妨げられたほか、国内の経済活動が落ち込み、結果的に輸入に影響が及んだためだ。
インカルカテラ氏は「会計の観点から、見かけ上の成長率が実態よりも強くなっている」と話した。
タイの第3・四半期は、2014年序盤以降で初めて投資が減少した中で、純輸出が大きく寄与したため、2.9%成長となった。だが純輸出の寄与は、輸入の落ち込みが主な要因だった。純輸出による押し上げ効果がなければ、タイの成長率はわずか0.1%にとどまっていた。
シンガポールでは純輸出が成長の足かせとなったが、それでも第3・四半期のGDPは前年同期比1.9%増となった。これは建国50周年関連の歳出と在庫の伸びに助けられたものだ。
東南アジアの大半の国で第3・四半期の成長率は上向いたが、輸出関連業者は需要面で有意な変化は見られないと指摘する。
シャンプーや石けんなどの消費財を輸出するPTユニリーバ・インドネシアのサンコヨ・アンタリクソ取締役は「当社は東南アジア諸国連合(ASEAN)とオーストラリアに輸出しており、第3・四半期(の需要)は依然として横ばいだ」と話した。
インカルカテラ氏は、成長を支えるために追加の金融緩和策を発動する余地はあるが、政策当局者は米国の利上げの際の資本流出を警戒している。停滞する世界貿易に対抗する財政面での刺激策には限界があるともみており、「ASEANの域外で幅広く景気上向きのサインが見られるまで、次の2四半期は弱い成長率が続くだろう」と予想している。
(Nicholas Owen記者)
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