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トランプ米大統領は米国時間の7日、「イランへの爆撃と攻撃を2週間停止することに合意した」と発表した。これまで同氏のイランに対する発言は一貫性を欠き、強硬姿勢と軟化姿勢を短期間で繰り返してきた。停戦や軍事行動の期限についても、「威嚇」と「延期」を交互に示し、市場参加者にとって不確実性は高まる一方だった。
2月8日に投開票された衆議院選挙では、自民党が地滑り的な大勝を遂げたが、週明けはじわじわ「円高」が進んだ。9日、中国当局が同国銀行に対し米国債保有を抑制するよう勧告しているとの報道がドル安を誘発した面もあるようだが、日本の衆院選直後で最も円安加速のリスクが高まっていたタイミングで、中国当局が高市政権に対してドル安・円高という「塩」を送ってくれたような格好となる。
1月23日、日米通貨当局による協調での「レートチェック」の噂が市場を駆け巡った。確かに、同日は2度にわたって円が対ドルで急伸した。東京時間、日銀金融政策決定会合後の植田和男総裁の会見が終了した後、159円台まで円安が進んだ際に一回、もう一回はニューヨーク(NY)時間で、この日だけで約3.5円ものドル安・円高となった。値動きから見ても、東京時間には日銀が、NY時間には米連邦準備理事会(FRB)がそれぞれレートチェックを行っていてもおかしくはない状況だ。
早いもので2025年もあとわずか。2026年の金融市場はどのような展開になるのだろうか。そのカギを握る注目人物は誰か。今年も、あくまで筆者の個人的な見解に基づき、市場の動きに大きな影響を与えると思われる「ビッグ3」ランキングを示しつつ、来年の為替相場を展望してみたい。
円安・株高の、いわゆる「高市トレード」が続いている。11月12日、片山さつき財務相が円安の進行について、「一方的な急激な動きが見られる」と発言したことを受けて、ドル/円は155円ちょうどを目前にして上昇にブレーキがかかる場面もみられているが、足下の円安トレンドが反転するほどの影響は見られていない。
「高市トレード」に沸いた金融市場も、10月10日を境にその勢いは一気に萎むこととなった。公明党がこの日、26年間にわたる自民党との連立解消を表明したことがきっかけだ。少数与党であっても、少なくとも自民党総裁である高市早苗氏の首相指名は確実視されていたのが、突如不透明になった。総裁に高市氏が就任してからは、日銀の利上げが遠のくとの見方から円安が進行し、一時ドル/円は153円台をつける場面もみられたが、自公連立の崩壊により高市政権の発足が危ぶまれるなか、わかりやすく円相場は反転上昇。ドル/円は17日に150円ちょうどを割り込んだ。日経平均も一時4万8000円台の高値を付けたものの急反落し、4万6000円台を付ける展開となった。
9月26日の外国為替市場では、1ドル=149円96銭と、150円台が視野に入った。円安・ドル高が進行した背景には、米国経済が予想以上に堅調であることに加え、日銀の早期利上げ観測が政治的な要因などからやや抑制されていることが挙げられよう。
「日銀はビハインド・ザ・カーブに陥っている。そのため日銀は利上げを行い、インフレを抑制する必要があるだろう」――ベセント米財務長官は8月13日のインタビューでこのように発言した。これを受けて日本の10年債利回りは1.57%台まで上昇した。尾河眞樹氏の見解。
「私たちの国は米国第一主義によって恩恵を受けている」——米財務省が11日に発表した6月の米財政収支が270億ドルの「黒字」となったことを受け、ベセント財務長官はすかさずSNS上でこのようにトランプ大統領を持ち上げた。
ドル/円は、6月以降騰勢を強めており、146円台に上昇した。市場ではドル/円が強含んだ背景として、6月13日にイスラエルがイランの核関連施設を攻撃し、その後イランが報復攻撃を行うなど、情勢が緊迫化したことによる「有事のドル買い」との見方が強い。しかし、64カ国の通貨に対するドルの値動きを表すドルの名目実効為替レートを見ると、確かにこの数日間は小幅に上昇しているが、基本的にはドルは年初来の下落トレンドを脱してはいない状況で、パンデミックの際に見られたような本格的な「有事のドル買い」にはほど遠いことがわかる。同様に、円の名目実効為替レートも足下は下落傾向で、「リスク回避の円買い」にもなってはいないようだ。
5月27日の東京市場でドルは142円台から144円台に急上昇した。国内債券市場で日本の超長期債の発行が減額されるとの観測が高まったことにより、長期金利が急低下し、円売りが進んだ。また、日本の不安定な超長期債市場により日銀が利上げし難くなるのではないか、との見方も円を押し下げ、ドル/円は29日には145円台後半を回復している。ただ、ドルの名目実効為替レートをみるとこの間ドルが大幅に上昇した様子はなく、ドル/円の急騰はあくまで円安圧力に押し上げられたものだったことがわかる。
「もともとこうした戦略だった。大統領は交渉で有利に立てるようにしているのだ」、「この瞬間まで方針を貫くには、彼にとって大きな勇気が必要だった」――。4月9日、ベッセント米財務長官はホワイトハウスで記者団に対しこのように述べ、米政府が発動後たった13時間で「相互関税」の一部停止を発表したことについて、あたかも事前に決めていたことであるように語った。
3日、トランプ氏が日本と中国の通貨政策に言及したことで円が急騰し、一時148円台を付けた。「日中などが通貨を押し下げれば、キャタピラーが米国でトラクターを作るのは難しくなる」と発言。何事も「関税(タリフ)」の一言で解決しようというのが同氏のスタイルで、自称「タリフマン」の本領発揮というところか。
世界の不確実性が高まっている。これを示すものとして、米スタンフォード大学の教授によって開発された経済政策不確実性指数(EPU)が参考になる。経済政策の不確実性を示す新聞報道(記事の数)を定量化し、先行きに控える税制変更の数、エコノミストによる経済予想の不一致度合いの3つの要素で構成されているが、基本的には政治的、政策的な不透明感が増すときに上昇する傾向が見られる。
「われわれは中国に対し一つの非常に大きな力を持っている。それは関税だ。彼らはそれを望んでおらず、私はむしろそれを使いたくない」──。トランプ米大統領は23日に放送された米FOXニュースのインタビューでこのように述べた。また、17日に行われた習近平中国国家主席との電話会談について聞かれると、「非常にうまくいった」、「自分の友人のようだ」などと話したという。
2025年の金融市場はどのような展開になるのだろうか。そのカギを握る注目人物は誰か。あくまで筆者の個人的な見解に基づき、市場の動きに大きな影響を与えると思われる「ビッグ3」ランキングを示しつつ、相場を展望してみたい。