記者
月末に退任する米アトランタ地区連銀のボスティック総裁が20日に行った講演は、米連邦準備理事会(FRB)の次の一手が利上げになる可能性を示す驚きの内容だった。
ドルが再びユーロと人民元に対して下落している。欧州と中国の指導者らが基軸通貨ドルに対する疑念の高まりを好機とみて、自らの通貨の国際的地位を高めようとしているタイミングと重なる。もっとも足元の為替レートの動きは全ての当事者、とりわけ米政府にとって望ましい方向で推移しているように見受けられる。
トランプ米大統領による先週のグリーンランド問題を巡る関税を使った脅しとその後の急激な方針転換は、世界の「ミドルパワー(中堅国)」にとって分水嶺となったのではないか。中堅国にとっては、米国の関与の有無にかかわらず、グローバル化の再起動が昨年の貿易ショック時に比べてはるかに現実味を帯びてきた。
欧州中央銀行(ECB)の追加利下げの動きに対し、タカ派の理事会メンバーは、将来の金融引き締めに向けて新たな脅威に警鐘を鳴らし始めている。その脅威とは「受動的な金融緩和」だ。政策金利を据え置いたままでも、中立金利の上昇などを通じて、実質的には引き締め度合いが弱まり、金融環境が緩む現象を指す。
金を鉄板の安全資産として購入している投資家にとって、ここ数カ月金の大口買い手の一角が、投機色の極めて強い暗号資産(仮想通貨)市場の有力発行体だという事実は、いったん立ち止まって考えるべき材料になるはずだ。
外国為替市場のユーロ相場は世界の金融市場が緊張感に覆われたこの1週間で上昇した。米国のテック部門を巡って懸念が生じ、欧米と日本の中央銀行に対する注目度が変化する局面で、安全資産としての役割を果たしているのかどうかという興味深い疑問を投げかけている。
米政府機関閉鎖によって発表が遅れていた経済指標が、閉鎖解除を受けて今後1カ月間に相次いで発表される。米連邦準備理事会(FRB)幹部らの間では、年内の再利下げを正当化するほど弱い数字にはならない、との見方が増えている。
欧州経済は、地政学的な問題と世界経済の主導権争いという2つの要素の間で綱渡りを続けている。双方から吹いてくる猛烈な風に足をすくわれないためには、貿易多角化と内需拡大を進めるしかない。
スイス国立銀行(SNB、中央銀行)は特別なケースかもしれない。だが中央銀行が準備通貨として優先的に組み入れる通貨に関する変化を探しているなら、SNBの動きは興味深いエピソードと言える。具体的には、購入対象からドルが外れているのだ。
米経済はほぼ4%の成長を遂げているのになぜ雇用が増えていないのか。これは激動の2025年が最終の四半期に入る現時点で、最も大きな謎のひとつだ。その答えは人工知能(AI)にあるのかもしれないが、証明するのは難しいだろう。
12日のフランスの格付け引き下げが政治的な議論を呼ぶニュースになった半面、ずっと意外だったのはスペインの格付け引き上げで、こちらはほとんど注目されなかった。より大きな構図としては、ユーロ圏の信用力格差が解消し、長らく続いた中核国と周縁国という二分法が存在しなくなったと言える。
現在の金融市場に漂う不安感の根源にあるのは長期国債利回り(長期金利)の高騰で、株式市場に比べて長期国債市場を落ち着かせるのはずっと難しいだろう。
わずか5カ月前まで、トランプ米大統領の関税措置が世界の金融市場にとって全てであり、最悪ならば世界的な景気後退を引き起こす可能性があると恐れられていた。ところが今のところその心配は的外れであったことが分かり、先週には再び関税に対する法的な異議が唱えられたにもかかわらず、誰も気に留めていなかったように見える。
9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で何が起ころうとも、トランプ米大統領の直近の指名によって引き起こされた連邦準備理事会(FRB)の構造の全面的な見直しに比べれば大したことではないだろう。
米連邦準備理事会(FRB)が組織運営したり経済情勢を評価したりする方法を変えれば、FRB議長の解任よりも政策や金融市場により持続的な影響を与える可能性があるかもしれない。
ドイツが2024年に1990年以来、34年ぶりに世界最大の債権国となった。ただ、世界政治が地殻変動を起こしている今、その地位も長続きしない可能性がある。
市場がムーディーズによる米国の信用格付け引き下げを冷静に受け止めたことには十分な理由がある。しかし、悪化する米国の財政状況を警戒する投資家にとってはあまり慰めにならないだろう。
過去2年間で初めて、米国の超大型ハイテク株は「世界で最もポジションが集中する取引」の座を失った。代わりにその座に就いたのは金で、中国による驚くほど大量の金現物購入がその一因だ。
トランプ米大統領が関税を出したり引っ込めたりした7日の週、外為市場は極めて敏感に反応した。こうした為替レートの変動は一貫して米新政権の通商政策を相殺する可能性があり、中央銀行は通商政策に一喜一憂する必要がなくなるかもしれない。
トランプ米大統領は米国に「黄金時代」をもたらすと宣言しているが、実際には彼はその時代を引き継いだばかりだ。彼に求められるのは、その状態を損なわないことだ。経済や金融の面で、米国はかつてないほど健全な状態にある。