長期金利一時1.505%、約16年ぶり高水準:識者はこうみる

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写真は日本円紙幣を使ったイメージ。2017年6月に撮影。REUTERS/Thomas White
[ 6日 ロイター] -   新発10年国債利回り(長期金利)は一時1.505%と2009年6月以来の高水準を付けた後、同6.0bp上昇の1.500%。欧米債金利の上昇や30年債入札への警戒感から円債の売り圧力が強まった。
市場関係者に見方を聞いた。
◎1.5%は通過点 財政リスク浮上で 日銀臨時オペは見込まず
<SBI証券 チーフ債券ストラテジスト 道家映二氏>
きょうの円金利の上昇は独金利の急上昇に引っ張られた格好だ。トランプ米大統領による圧力やウクライナ防衛の観点から、緊縮財政の国であるドイツで、国防費の増額に向けて債務抑制策の緩和に与野党が合意し、国債増発のリスクから欧州債全般が一気に売られた。
日本も同様に防衛費の引き上げが意識されている。日米首脳会談では防衛費を2027年度に国内総生産(GDP)比2%にすることを目指しているとしていたものの、足元では、できる限り早期に防衛費を同3%以上に引き上げるべきだと、米政権から圧力がかかっている。このため財政リスクからイールド・カーブはスティープニングしている。来年度は前倒し債の取り崩しにより国債の増発はしないとみており、需給はニュートラルだ。ただ、中長期的には国債増発リスクが高まっており、金利の水準訂正が入っている。
  前日の内田真一日銀副総裁の講演もタカ派的だった。市場に優しい発言とされる『内田プット』は期待外れに終わり、利上げは毎回ライブになるというニュアンスだった。3月18-19日会合での利上げも否定していない。
  日銀の追加利上げ時期は4月30日ー5月1日会合と予想しているが、3月会合の可能性も3-4割あるとみている。このため、金利は下がりにくい地合いが続くだろう。財政リスクが浮上したこともあり、長期金利の1.5%は通過点だとみている。
日銀が臨時の国債買い入れオペを実施するとはみていない。『例外的』といった表現はイコール実施しないという意味に等しい。少なくとも、現行の長期金利の水準については日銀は不安視していない上、前日の内田日銀副総裁も長期金利の上昇をけん制していない。円安リスクを踏まえると、臨時オペを実施することはできないだろう。
◎上昇止める買いは期待薄、月内に1.6%も
<岡三証券 チーフ債券ストラテジスト 長谷川直也氏>
  本日の金利上昇は昨晩の欧米金利の上昇、具体的にはISM非製造業景況感指数を受けた米金利上昇と、財政拡張懸念からドイツの金利が衝撃的な急上昇となったことが直接的なきっかけで、それが(円債の)イールドカーブ全体の押し上げに影響している。
そもそも日本では日銀の利上げ継続観測を背景に国内金利が上昇基調にある状況で、そこに米欧の金利上昇が加わって大きな反応となっている。財政懸念からの金利上昇となると、日本も「他人事ではない」部分がある。
  長期金利の1.5%は、1.3%や1.4%と比べて節目ではあるが、その水準自体に大きな意味はない。きょうも1.5%近傍では実際に金利が押し戻される場面も見られており、一部に買いを入れる動きはもちろんあるだろう。
  ただ一定の需要が喚起されても、この地合いの悪さでは金利を下げるような、投資家による「前のめり」の買いは出にくいと考える。折しも今週、来週と国債の供給(入札)が相次ぎ、需給が悪化している状況がある。
  少なくとも期末(3月末)までは投資家が買いに動くとは考えづらく、長期金利は1.6%に上昇することも考えられる。

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