日銀総裁、国債買い入れ減額は「相応の規模に」:識者はこうみる

日銀版需給ギャップ、1―3月期は-0.66% 16四半期連続のマイナス
 7月3日、日銀は1―3月期の需給ギャップの試算値がマイナス0.66%になったと発表した。16四半期連続のマイナスとなり、マイナス幅は2022年4―6月期以来の大きさ。23年10―12月期について、日銀はプラス0.02%としていたが、マイナス0.03%に下方修正した。6月撮影(2024年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
[ 14日 ロイター] - 日銀の植田和男総裁は14日、金融政策決定会合後の記者会見で、長期国債の買い入れについて「減額する以上は相応の規模になる」との考えを示した。具体的な減額の幅やペース、枠組みは「市場参加者の意見も確認しながら、しっかりした減額計画を作っていきたい」と語った。
市場関係者に見方を聞いた。
◎市場が納得する形模索、株価影響はニュートラル
<大和証券 チーフエコノミスト 末広徹氏>
会見自体に新しい話はなかったが、金融政策と国債買い入れをいったん切り離して考えてほしいという日銀の思いは伝わった。市場が納得する形での買い入れ減額のタイミング・規模を模索しており、そのためにも債券市場参加者の会合を開催するのだろう。
会見で追加利上げについての質問は少なかった。足元では国債買い入れの減額に議論が集中しているため、いい意味でも時間稼ぎができたのではないか。ただ、実際は早く着手したいとも考えており、せめて4─6月期の国内総生産(GDP)を確認した後、9月か10月にも追加利上げを決めたいのではないか。
総裁会見を無難に終え、マーケットは再びドル安/円高・日経先物安で反応し、往って来いとなっている。ただ、国内金利の動向は依然として不透明な側面が多く、金融株や輸出関連株は当面動きづらい。日本株への影響はニュートラルと考える。
◎市場の混乱回避へ対話重視の姿勢
<みずほリサーチ&テクノロジーズ 主席エコノスト 河田皓史氏>
3月会合で金融政策の枠組みを見直して以来、国債買い入れは政策の「本丸」ではないという位置づけに変わった。その意味で、買い入れ減額は経済・物価情勢とやや切り離しながら、市場参加者との対話の中でマーケットの混乱を招かないようにやっていきたいというのが日銀の本音だと思う。植田総裁の会見でもそれが強くにじんでいた。
為替は決定内容が伝わった後に円安方向に振れたが、押し戻されて足元は157円台で推移している。前回会合後の会見で為替に対して不用意な発言をしてしまったという反省も踏まえ、今回は十分に準備して臨んだ跡がみえた。
◎米利下げまで時間稼ぎ、ドル/円の地合い不変
<ふくおかフィナンシャルグループ チーフストラテジスト 佐々木融氏>
国債買い入れの減額が「相応の規模」になるとの発言が目を引いた程度で、特に目立った情報はなかった。日銀は時間稼ぎをして、米国が利下げに転換するのを待っているのだろう。市場参加者の意見を聞くのは、もっと前の段階でもできたはずだ。
日米の10年金利差だけがドル/円にとって極めて重要というわけでもない。日銀は利上げや正常化になかなか進めず、ドル/円が高止まりする地合いに変わりはないと見ている。
◎国債買入れ減額計画では予見性を重視、市場反応は限定的
<三井住友トラスト・アセットマネジメント シニアストラテジスト 稲留克俊氏>
国債買い入れ減額の具体的な計画について、総裁は「予見可能性と柔軟性のバランス」と繰り返し話していたが、「予見性が大事」ということがにじみ出ている会見だった。
ただ、発言には夜間取引の国債先物も特段の反応を見せておらず、債券市場としては、あと1カ月待つしかないという感じ。今後は7月会合までの間、市場はこれまで数週間やってきたのと同じように、再び買い入れ減額の規模やペースについて色々と議論することとなりそうだ。
1つ言えるのは、7月の利上げの可能性はほぼなくなったということ。総裁としては「あり得る」と言うしかなかっただろうが、マーケットにおいては、これまで7月利上げを予想していた人々はほぼその見方を撤回すると思う。

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