「総裁選トレード」活発化、核融合やサイバーセキュリティに物色=株式市場

[東京 8日 ロイター] - 株式市場では石破茂首相の辞任表明を受けて、総裁選をにらんだ物色が進んでいる。まだ候補者は固まっていないが、昨年の総裁選で石破氏と競った高市早苗前経済安全保障担当相や小泉進次郎農林水産相の関連と目されている銘柄群に上昇が目立つ。
高市氏と小泉氏に共通する防衛関連では三菱重工業(7011.T), opens new tab、IHI(7013.T), opens new tabが一時4%超高、川崎重工業(7012.T), opens new tabが3%高といずれも急伸した。石破氏も重視してきた分野でもあり、バリュエーションは高く、手あかのついたテーマとされるが「政権が変わるということで、テーマとして見直されている」(岩井コスモ証券の有沢正一投資調査部部長)との声が聞かれる。
個別分野で物色が目立つのが、核融合関連だ。高市氏がエネルギー安全保障、産業政策の両面から重要視する分野と目されている。研究機関向けの核融合関連製品を手掛ける助川電気工業(7711.T), opens new tabは一時ストップ高となった。関連株の一角とされるジェイテックコーポレーション(3446.T), opens new tabも一時10%高と急伸した。
高市氏が重視するサイバーセキュリティ―関連ではFFRIセキュリティ(3692.T), opens new tabは10%高、フーバーブレイン(3927.T), opens new tabが5%高となったほか、同氏が実用化を急ぐ立場の量子コンピューター関連も、フィックスターズ(3687.T), opens new tabが5%超高、エヌエフホールディングス(6864.T), opens new tabが10%高などといずれも人気化した。
業種別でみると、銀行株がさえない一方、不動産株が強いことも、日銀の利上げに対する高市氏の否定的な姿勢への思惑が影響しているとみられている。
小泉氏に関連した物色も見られる。地元の神奈川県を地盤とする百貨店のさいか屋(8254.T), opens new tabが一時ストップ高となったほか、ライドシェア関連では、大和自動車交通(9082.T), opens new tabがストップ高水準で買い気配となっている。FIG(4392.T), opens new tabは一時8%高となった。
こうした関連株は国内の話題でもあり「身近でわかりやすく、個人投資家も手掛けやすい」(岩井コスモの有沢氏)ことが、物色が強まった背景のひとつとみられる。次期総裁が決まるまでは「全否定されにくい」(三菱UFJeスマート証券の山田勉マーケットアナリスト)側面も意識されており「総裁選に向けて買う理由になり続ける」(山田氏)との見方もある。
<「実施方法」にも関心>
もっとも現時点では、あくまで思惑先行の側面が強い。これまでも石破政権の退陣が意識されるごとに物色が向かっていた銘柄群でもあり、すでにバリュエーションが高まっている銘柄も少なくない。仮に総裁選結果が思惑通りとなって期待通りの政策が打たれたとしても「どれだけ、いつごろ収益貢献するかは不透明」(岩井コスモの有沢氏)との指摘もあり、行き過ぎには注意が必要ともみられている。
目先では、総裁選の実施方法が、関連銘柄への思惑に影響するかもしれない。市場では「国会議員だけで決めるなら小泉氏、党員・党友らも投票するフルスペックなら高市氏に有利になりそう」(三菱UFJeスマート証券の山田氏)との思惑が聞かれる。自民党は9日、投票方式について総裁選管理委員会で議論し、総務会に諮る見通しと伝わっている。
◎「総裁選トレード」の主な関連銘柄
出所)LSEGのデータに基づきロイターが作成。騰落は「%」、株価収益率(PER)は「倍」。騰落は前営業日終値に対するきょうの高値の上昇率。大和自動車の年初来騰落は前営業日終値ベース。

平田紀之 編集:石田仁志

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