
12月3日 オーストラリア統計局が3日発表した第3・四半期の実質国内総生産(GDP)は前期比0.4%増となり、市場予想の0.7%増を下回った。写真は7月、シドニーで撮影(2025年 ロイター/Hollie Adams)
[シドニー 3日 ロイター] - オーストラリア統計局が3日発表した第3・四半期の実質国内総生産(GDP)は前期比0.4%増となり、市場予想の0.7%増を下回った。企業投資と個人消費は堅調で、中央銀行による追加緩和の余地は小さいことが示された。
第2・四半期は0.7%増に上方修正された。
統計局によると、第3・四半期の鈍化は在庫の大幅減少で0.5%ポイント押し下げられたことが要因だという。一方、急回復した国内最終需要が1.1%ポイント押し上げ、基調的な強さが示された。
前年比の伸び率は2.1%と2023年半ば以来の高水準となり、オーストラリア準備銀行(中央銀行)の成長予測の2%を上回った。家計貯蓄率は6.0%から6.4%に上昇し、消費者の購買力が依然として十分であることを示唆した。
オックスフォード・エコノミクス・オーストラリアの経済調査責任者、ハリー・マーフィー・クルーズ氏は「経済は好調だ。実際、中銀にとっては少々良すぎるくらいだ」と指摘。「インフレが上昇し、国内経済の勢いが増す中、中銀は難しい舵取りを迫られている。利下げは当面見送られるだろう。インフレの芽を摘むために来週利上げに踏み切る可能性も否定できない」と語った。
中銀理事会は9日に会合を開き、政策金利を3.60%に据え置くことが確実視されている。
合わせて示されたインフレ指標によると、国内需要デフレーターは第3・四半期に1.3%上昇と堅調な伸びとなった。名目GDPは1.7%上昇した。
発表後、豪ドルは0.2%上昇の0.6579米ドル。豪3年債先物は不安定な中、直近では6ティック安の95.99ドルと、1月以来の安値となった。
スワップ市場は、中銀が来年終盤まで政策金利を据え置くことを示唆しているが、来年末までに利上げが実施される可能性を完全に織り込んでいる。
シティ・オーストラリアのアナリストは顧客向けノートで「単位労働コストの若干の軟化と生産性の小幅な改善以外に、中銀にとってハト派的な証拠はほとんどない。第3・四半期の比較的堅調な内需は、家計が第4・四半期のセール期間中に高額商品への支出を爆発させることを期待させるものだ。このため、今後のタカ派的リスクには警戒が必要だ」と述べた。
<民間投資が成長ストーリーに加わる>
統計局によると、民間投資は四半期ベースで成長率を0.5%ポイント押し上げ、データセンターの継続的な拡張を反映した。今年3回の利下げ後、長らく遅れていた企業投資の回復を示している。
政府支出も前四半期にはほとんど寄与しなかったものの、第3・四半期はGDPの前期比伸び率を0.2%ポイント押し上げた。家計消費は主に生活必需品の支出にけん引され、GDP寄与度は0.3ポイントのプラスとなった。
ムーディーズ・アナリティクスのオーストラリア経済責任者、サニー・グエン氏は「投資面は将来の供給能力を重視するなら、まさに見たいと思う内容だ。時間の経過とともに生産性と潜在的な産出量を押し上げる経済分野に、より多くの資本が投じられている」と語った。
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