スイス中銀、政策金利ゼロに据え置き 関税の影響を警告

スイスフラン操作には一切関与せず、中銀表明 米為替報告受け
スイス国立銀行(SNB)本部、2025年6月撮影 REUTERS/Denis Balibouse
[チューリヒ 25日 ロイター] - スイス国立銀行(中央銀行)は25日、政策金利を0%に据え置いた。中銀はトランプ米大統領の関税で2026年の国内経済の見通しが悪化したと警告した。
ロイター調査によるエコノミスト予想でも据え置きが予想されていた。
据え置きは7会合ぶり。中銀は24年3月に利下げを開始した。
声明で「インフレ圧力は前四半期とほぼ変わらない。金融政策は、インフレを物価安定と一致する範囲に維持し、経済発展を支える一助となっている」と述べた。
トランプ米大統領が8月に米国へのスイス製品輸出に39%の関税を発動して以降、初めての政策決定となった。
中銀は、機械製造業や時計製造業が特に関税の影響を受けているが、その他の産業、特にサービス業への影響は限定的だと指摘。 「米国の関税が大幅に引き上げられたことで、スイスの経済見通しは悪化した。関税は、特に輸出と投資を冷え込ませる可能性が高い」との見方を示した。
シュレーゲル総裁は記者団に対し、「米国の関税は大きな課題で経済活動を鈍化させる可能性が高い」と語った。
中銀は現在、関税と高い不確実性を理由に、26年の成長率が1%弱にとどまると予想。こうした環境では、失業率の悪化が続く可能性が高いとの見方を示した。従来予想は1─1.5%だった。
アナリストは、スイスフランがユーロに対して比較的安定していることも据え置きの理由になったと指摘した。
EFG銀行のエコノミスト、ジャンルイジ・マンドルッツァート氏は「金利をゼロに据え置いたことは驚きではない」とし「今回の決定の背景には、インフレ率が目標レンジである0─2%に戻っていること、今後数年間で目標レンジの中間値に近づくと予想されていること、そしてスイス経済が引き続き穏やかに成長するという見通しがある」と述べた。
スイスのインフレ率は5月にマイナスになったが、過去3カ月は目標レンジ内に戻っている。
中銀は25日、インフレ率が今年0.2%に達した後、26年には0.5%、27年には0.7%に上昇するとの見通しを維持した。
ただ、一部のアナリストは中銀がいずれ利下げに踏み切る必要があると予想している。
キャピタル・エコノミクスの欧州エコノミスト、エイドリアン・プレッテジョン氏は「これが利下げサイクルの終わりだとは思わない」とし「来年のインフレ率は平均してゼロ近辺になると予想しており、中銀はデフレのリスクを減らすため、今後数四半期で利下げを行うとみている」と述べた。
シュレーゲル総裁は、マイナス金利の再導入には高いハードルがあるとの見解を繰り返し表明。一方で必要なら再び金利を引き下げる用意があるとも語った。
総裁は今後数四半期にわたりインフレ率が0ー2%の目標範囲内にとどまるとの中銀見通しを指摘したが、目標を下回った場合には行動する用意があるとし、「必要ならさらなる利下げを行う用意はある。しかしマイナス金利導入のハードルは高い」と語った。
また「短期的にインフレ率がマイナスになる可能性はあるが、中期的には物価安定を達成する必要がある」と述べた。

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