
米電気自動車(EV)大手テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)がバックミラーに映っていたライバル車に追い抜かれた。インド・ニューデリーで10月8日撮影(2024年 ロイター/Priyanshu Singh)
[香港 31日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米電気自動車(EV)大手テスラ(TSLA.O)のイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)がバックミラーに映っていたライバル車に追い抜かれた。中国の比亜迪(BYD)(002594.SZ)(1211.HK)は30日発表の第3・四半期売上高でテスラを大きく上回った。同氏にとってさらに引き離されることが次の心配事だろう。
BYDの売上高は昨年第4・四半期にはテスラと拮抗していた。しかし、今年第3・四半期は過去最高の2010億元(280億ドル)を記録し、テスラを約30億ドル上回った。
ただ、これは単純な比較ではない。BYDは純電気自動車とハイブリッド車の両方に加え、モバイル機器や商用車も製造している。モバイル部門の推定売上高を差し引くと、売上高は約220億ドルで、テスラの自動車部門とサービス部門を合わせた水準に匹敵する。いずれにせよ、2022年にバッテリー駆動車に特化し始めたばかりの中国企業にとっては画期的なことだ。
BYD創業者の王伝福会長は研究に積極的に投資しており、24年には65億ドルに達する可能性がある。LSEGがまとめたアナリスト予想によると、これはテスラの予想投資額を50%近く上回る。
BYDの今年1─9月の販売台数と成長率の大半は中国が占めており、消費者の国産ブランド志向に後押しされた。コンサルティング会社オートモビリティーによると、業界において国産ブランドが占める割合は20年の3分の1に対し、今年は3分の2近くに達している。
中国製EV流入に対する欧米の反発にもかかわらず、輸出は第1─3・四半期に全体の約1割を占めた。BYDはハンガリー、タイ、トルコ、ブラジルで工場を稼働・建設中で、海外市場が成長エンジンになる可能性がある。同社は8月、海外での販売台数が輸出台数を初めて上回った。
テスラが上回っている点は今もある。同社の上海工場は第3・四半期に過去最低の1台当たり原価を達成。その結果、テスラの工場ではBYDのように利益率の高いハイブリッド車を生産していないにもかかわらず、純利益はBYDの16億ドルを上回る22億ドルに達した。
テスラの運転支援システム「フルセルフドライビング(FSD)」は、その名に恥じないとは言い難いが、多くの競合他社よりも進んでいる。
こうした優位性がテスラを後押しするだろう。しかし、BYDはリードを広げるべくギアを上げている。
●背景となるニュース
*BYDが30日発表した第3・四半期決算は、純利益が前年同期比11.5%増の116億元(約16億3000万ドル)だった。売上高は24%増の2011億元(約282億4000万ドル)と過去最高だった。
*テスラが23日発表した第3・四半期の純利益は22億ドル、総売上高は252億ドルだった。
(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)
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