
2024年は米国をはじめとして世界全体で少なくとも50カ国(総人口約20億人)で国政選挙が予定されている。写真は米連邦議会議事堂前に掲揚された米国旗。2021年1月撮影(2024年 ロイター/Brendan Mcdermid)
[シドニー 12月28日 ロイター] - 2024年は、米国をはじめとして世界全体で少なくとも50カ国(総人口約20億人)で国政選挙が予定されている。
ロシアのプーチン氏は3月の大統領選で再選を果たすことはほぼ確実。イスラエルのネタニヤフ首相の運命は、パレスチナ自治区ガザでのイスラム組織ハマスとの戦闘にかかっている。戦闘が終了すればすぐ、ネタニヤフ氏がその地位を追われるというのが多くの関係者の見方だ。
ただ世界にとって最も重要なのが、11月に行われる米大統領・議会選、そして現在共和党候補指名争いで圧倒的な優位に立つトランプ前大統領が返り咲くかどうかであるのは言うまでもない。
米大統領選で誰が勝つのか、またはより抑制がきかなくなり、既存体制への反発心が増したトランプ氏が権力の座に就けばどう行動するかの予想が難しいことが、世界各地で起きているさまざまな紛争の推移の理解を助ける要素となる。
もっと簡単に言えば、あらゆる勢力は、11月の選挙で米国の外交政策が一変する前に、自分たちに有利な立場を築きたいと考えているのだ。
そうした動きこそが、現在の国際的な勢力関係の大半を物語っている。具体的には、より威圧的になったライバルたちと、低下しつつもなお強い国力を有する米国が対峙する構図。その米国は内政面では分断化が一段と進んでいるように見える。
ロシアのウクライナ侵攻や、中国による台湾威嚇とフィリピンへの軍事圧力からは、ロシアと中国が、つい最近までなら米国の友好国や同盟国に対して行使するなど考えられなかった手段を積極的に用いようとしている姿勢が読み取れる。
バイデン政権は、これを意図的に米国の力を試す行為と受け取り、米国は不要なエスカレーションを回避しつつも同盟諸国を支援する必要があると主張している。
ただそれが困難な道のりであることは、もう明らかになってきた。イスラエルのガザにおける戦闘は、米国の影響力が限定的になり得ることを実証した。ネタニヤフ政権は、米国の一般国民から自制を求める声が強まっているにもかかわらず、米国の幅広い支援を失わずにガザで思う存分に行動できると信じているのは間違いない。
米国にとっては厄介なことに中東地域で火の粉が広がる兆しが出てきている。イエメンの親イラン武装組織フーシ派による紅海での商船攻撃もその一つだ。
さらにまだあまり大きく取り上げられていないが、専門家はスーダンとミャンマーの内戦も24年中に拡大してもおかしくないと警告している。その背後にはロシアと中国の影が見え隠れする。
<中東情勢は一層緊迫化>
中東情勢は24年序盤に一層緊迫化し、11月の選挙を控えた米国はますます手が回らなくなるとの懸念が浮上している。
最悪の場合、複数の危機が相互に影響し合うかもしれない。ウクライナの戦争が世界の食料価格をつり上げ、貧困国や紛争地域の人道危機をさらに悪化させたように。
ウクライナや東欧諸国の間では、米国や西欧諸国が武器支援を十分に果たしてくれないとの不満が渦巻いている。共和党が追加の軍事支援に反対しているほか、「トランプ政権」になればウクライナ支援を打ち切ってロシアとの和平を強要する展開が現実味を帯びるだけに、24年はそうした不満がもっと大きくなりそうだ。
一方トランプ氏が大統領になった場合、中国に対してどういう出方をするのかは予測がつかない。
1月13日には台湾で総統選が行われ、今のところ与党・民進党候補の頼清徳氏が勝利して中国との緊張が続く公算が大きい。台湾情勢に加え、中国とフィリピンの南シナ海の領有権争も、フーシ派の商船攻撃と同じようにバイデン政権が選挙前に情勢悪化を防ぎたい問題になる。
トランプ氏が大統領選に勝利すると、プーチン氏がロシアの軍事力強化をさらに進め、総動員を行ってウクライナへの攻勢に乗り出すのではないかとの見方も出ている。
6月には欧州各国の議会選がある。今年11月のオランダ総選挙で極右政党が勝利したことを受け、極右勢力への支持がもっと広がるかどうか注目される。今年9月にスロバキアでナショナリスト政権が誕生し、ウクライナ支援打ち切りを表明しただけに、極右の伸張はプーチン氏にとって有利な要素とみられる。
英国では24年中に行われる総選挙でキア・スターマー氏率いる野党労働党が政権を奪回しそうだ。インドはモディ首相の再選が見込まれている。
(筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)
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筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
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