
米国民はペースを落とさずに買い物を続けている。先週公表のデータによると、2023年第4・四半期は個人消費の大幅な増加がGDP成長率の原動力だったことが分かる。写真はニューヨークで2022年12月撮影(2024年 ロイター/Eduardo Munoz)
[ロンドン 31日 ロイター Breakingviews] - 米国民はペースを落とさずに買い物を続けている。先週公表のデータによると、2023年第4・四半期は個人消費の大幅な増加が国内総生産(GDP)成長率の原動力だったことが分かる。しかし消費の背後で、借金も膨らみつつあり、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の仕事を難しくしているのがそうした動きだ。パウエル氏は、消費が衰えないうちに利下げすることを迫られており、インフレ再燃につながりかねない。
FRBは31日までの連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を5.25─5.5%に据え置いたが、利下げに向けてより正式な一歩を踏み出した。市場参加者は既にこの行動を見越して、3月までに利下げが実施される確率が45%あると想定している。物価上昇率がFRBの目標とする2%に近づいている現状からすると、利下げしても大丈夫と思われるだろう。
ただ力強い経済成長は、物価情勢がすぐにまた悪化に転じてもおかしくないことを示唆している。第4・四半期GDP成長率は年率換算3.3%で、23年全体でも2.5%と、22年の1.9%から急加速。FRBがインフレを起こさない伸びとみなす1.8%よりずっと高い。
好調な経済の後ろに見えるのは、無敵の消費者という存在だ。米経済活動の3分の2強を占める個人消費は第4・四半期に年率換算2.8%増加し、前年の2倍を超える伸びを示した。食品や宿泊施設、スキーやオートバイなどの娯楽製品などへの支出が活発だった。
問題は、新型コロナウイルスのパンデミック期間に膨らんだ過剰な貯蓄の大半が使われた後、このような享楽的な消費が割高な借金で賄われているという事実にある。クレジットカード借り入れは2年連続で増え、第3・四半期の残高は1兆ドルを突破。前年比での1540億ドルという増加幅は、ニューヨーク連銀がデータ収集を開始した1999年以降で最大に上った。堅調な労働市場と物価の下振れが実質所得を押し上げているとはいえ、個人貯蓄率は1年ぶりの低さになっている。
一方クレジットカード借り入れのうち、延滞日数が90日に達した件数の比率は既に21年第1・四半期以降で最も高くなった。9.4%という延滞率自体は、金融危機後の2010年に達した13.7%はまだかなり下回っている。だが今後金利が高止まりすれば、延滞率は上昇する公算が大きい。返済できない借金の重荷はやがて消費の足かせとなり、経済成長に重大な打撃を与える恐れがある。
これがFRBの次の決定を、現在よりはるかに危険なものにしてしまう。インフレが弱まっているため、パウエル氏は比較的早く利下げすることをほぼ義務付けられている。ところがそれは経済を過熱させ、インフレ再燃をもたらしかねない。足元でFRBが様子見を続ける中でも、限界を超えた消費活動がインフレの火種を提供し続けている。
●背景となるニュース
*米FRB、金利据え置き インフレ低下「確信」まで利下げせず
(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)
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