
ウクライナのゼレンスキー大統領は17日、欧州連合(EU)首脳に対し対ロシア戦争の「勝利計画」を提示し、ウクライナを北大西洋条約機構(NATO)加盟交渉に招待するよう求めた。同日撮影(2024年 ロイター/Johanna Geron)
[ブリュッセル 17日 ロイター] - ウクライナのゼレンスキー大統領は17日、欧州連合(EU)首脳に対ロシア戦争の「勝利計画」を提示し、ウクライナを北大西洋条約機構(NATO)加盟交渉に招待するよう求めた。
この計画が支持されなければ「大きな間違い」を犯すことになり、ロシアを強化することになると指摘。ブリュッセルで開かれたEU首脳会議で演説し、一段の軍事支援の実施を呼びかけたほか、ロシアのプーチン大統領に「決定的な」打撃を与えるため、ウクライナをNATO加盟交渉に即時招待するよう求めた。EU加盟国の多くはNATOにも加盟している。
ゼレンスキー氏は「プーチンはわれわれの強さに配慮しなければならず、自由世界が彼の脅しに震えるようなことがあってはならない」と述べた。
同氏は前日、ウクライナ議会で「勝利計画」を初めて公表。NATOへの招待のほか、ウクライナの防衛力強化や対ロシア抑止など5つの柱から成るもので、2025年中の戦争終結を目指す。 もっと見る
NATOはこの日から2日間にわたりブリュッセルにある本部で国防相会合を開催。ゼレンスキー氏と並んで記者会見したルッテNATO事務総長は「ウクライナはNATOに加盟する」と述べ、これまでの確約を改めて表明し、「それが実現するまで、ウクライナが勝つために必要なものを全て手に入れられるようにする」と語った。
ただ具体的な時期については言及せず、全てのNATO加盟国がウクライナが示した計画を詳細に検証する必要があるとし、ウクライナの加盟交渉への招待を巡り意思を明示していない米国次第になる可能性があるとの見方を示した。
ルッテ氏は、パートナーが結束を維持すればウクライナは負けないとゼレンスキー氏が話すと割って入り、「そしてわれわれがその結束を失うことはない」と宣言した。
その上で「プーチンに対する本日の私のメッセージは、もし彼がわれわれがそうすると考えるなら、われわれはそうしないということだ」と述べた。
<直接紛争リスク>
プーチン氏はこれまで、ウクライナ侵攻の理由に同国のNATO加盟の可能性を挙げている。
ゼレンスキー氏は、ウクライナを正式にNATO加盟交渉に招けば、プーチン氏が勝てないことをロシアに明確に示すことができると主張した。
しかし、NATOはこれまで、ロシアとの直接紛争に引きずり込まれるとして、ウクライナが戦争状態にある間は加盟できないとしている。米国やドイツなどいくつかの主要国は、加盟交渉に招くことに特に慎重だ。
ロシア国営タス通信によると、ロシア大統領府はこの日、ウクライナが提示した「勝利計画」で事態が一段と悪化し、ロシアとNATOの直接紛争のリスクが高まると改めて警告した。
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