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アングル:中国の外国企業、共産党の「内部介入」を懸念
2017年8月30日 / 02:30 / 3ヶ月後

アングル:中国の外国企業、共産党の「内部介入」を懸念

[北京 24日 ロイター] - 欧州の大手企業10数社の幹部が7月末に北京で会合を開いた際のテーマは、現地で活動する外資系企業に中国共産党が干渉を強めていることに対する懸念だった。事情に詳しい3人の人物が明らかにした。

 8月24日、中国で活動する外資系企業幹部のあいだで、欧州の大手企業10数社の幹部が7月末に北京で会合を開いた際のテーマは、現地で活動する外資系企業に中国共産党が干渉を強めていることに対する懸念だった。写真は2011年、北京で国旗にアイロン掛けをする人々の手(2017年 ロイター/David Gray)

中国社会全体を通じた党の役割強化を目指す習近平国家主席の取り組みは、同国における外資系企業の活動にまで及んでおり、その結果として突きつけられる要求に対して、こうした企業の幹部からは不満の声が聞こえてくる。

中国でビジネスを行ううえで、社内に党関連組織が存在することは長年にわたる慣例だった。国営英字紙チャイナ・デイリーが先月報じたところによれば、同国の民間企業約186万社のうち、70%近くには党組織が存在する。

中国で活動する企業は、外資系を含め、法律で社内に党組織を設立することが求められているが、長年にわたり、多くの企業幹部はこの規則は形式的なものに過ぎず、特に懸念する必要はないと考えていた。

上述の会合に参加した企業に属する上級幹部は、一部の企業では、中国国営企業との合弁事業について、事業運営や投資判断に関する最終的な決定権を党に与えるよう、契約条件の改訂を求める「政治的圧力」を受けている、とロイターに語った。

同幹部によれば、現地の合弁パートナーから、党の当局者を「事業経営組織に参加」させ、「党組織の諸経費を企業の予算に含める」こと、さらには取締役会長と党書記のポストに同一人物が就くことを義務付ける文言を盛り込むよう合弁契約の修正を求められているという。

合弁契約の条件の改訂は大きな懸案事項となっており、今のところ彼の企業では改訂に抵抗しているという。「企業統治に党が食い込んできたら、直接的な権利を握られることになる」と同幹部は懸念する。

共産党の広報官室を兼ねる国務院新聞弁公室(SCIO)は、合弁事業や外資企業の通常の事業活動に対する党組織からの介入は一切ない、とファックスでロイターに宛てた声明で述べた。

ただし、「企業内の党組織は一般に、事業経営周辺の活動を担っており、関連する国家指導原理や政策の迅速な理解、あらゆる関係当事者の利害調整、内部紛争の解決、人材の導入や育成、企業文化の指導、そして協調的な労使関係の構築を支援している」と付け加えた。

「党組織は企業内で広く歓迎されている」とSCIOは述べた。

<海外投資に影響も>

ロイターがインタビューを行った13人の企業幹部(所属企業はすべて異なる)のうち、8人が党からの要求増大に懸念を示すか、党組織による活動の拡大を指摘。党との関係という厄介なテーマゆえに、いずれも、自身の名前や企業名を伏せることを条件に取材に応じている。

また、ロイターが問い合わせを行った多国籍企業大手20社のうち、中国事業部内に党組織が存在することを認めたのは、韓国のサムスン電子(005930.KS)とフィンランドのノキアNOKA.HEのみだった。大半の企業はこの件に関する質問に回答を控えた。

ドイツの医薬品・化学大手バイエル(BAYGn.DE)のみが、在中国EU商工会議所による冒頭の会合に参加したことを認めたが、協議の内容についてはコメントを拒んでいる。

 8月24日、中国で活動する外資系企業幹部のあいだで、欧州の大手企業10数社の幹部が7月末に北京で会合を開いた際のテーマは、現地で活動する外資系企業に中国共産党が干渉を強めていることに対する懸念だった。写真は2012年11月、北京で行われた中国共産党全国代表大会(2017年 ロイター/Carlos Barria)

EU商工会議所北京支部のゼネラルマネジャー兼広報担当ディレクターであるカール・ヘイワード氏は、今回の会合の目的は「党組織が合弁事業のガバナンスに公式に組み込まれたかどうか、会員から確認する」ことだったと認めた。

「このような内容の政策変更が公式にあったとは認識していない。そうした変更は海外からの中国投資を抑止する要因になると見込まれるからだ」とヘイワード氏は言う。

<本格的なテコ入れ>

習政権のもとで、中国共産党は「(国営企業における党リーダーシップの)弱体化や希薄化、空洞化、周縁化」への対処を進めていると党機関紙・人民日報は6月報じている。

同記事は、国営石油大手の中国石油化工(シノペック)の関係者の言葉として、同社が合弁事業のパートナーであるすべての外国企業に対し「社内の党組織構築に関する(定款上の)規定を具体的に示す」よう求めたと伝えている。

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外資系企業内でも党組織を拡大するという計画は、ここ数十年にわたって密かな懸念となっていたものの、そのような目標に向けた「本格的なテコ入れ」が行われたのは、習政権下が初めてだ、と調査機関コンファレンスボードの中国経済ビジネスセンター(北京)で中国共産党の研究を行っているジュード・ブランシェット氏は語る。

中国国営企業との合弁を通じて現地で活動する大手外資企業はかなりの数に上る。こうした企業が所属する業界団体によれば、加盟企業は、中国側パートナーに技術を公開するか、さもなければ市場アクセスを失うリスクを強要されることについて不満を抱いているという。

香港証券取引所に上場している中国国営企業の多くは今年、社内の党組織に明確な役割を与える方向で定款の改定を行った。

中国南部で合弁事業を営む欧州大手メーカーの中国担当幹部は、昨年、社内の党組織が業務時間外に会社の施設を使って会合を開くことを容認したと話している。

党組織はこうした会合に対する時間外給与の支給を求めたが、これについては会社側が却下した。だがその後、党組織は会社側に対し、もっと多くの党員を雇用するよう要求し、投資決定への介入も試みたという。

「そこは『立ち入り禁止』区域だとその時通告した。彼らが投資決定についてまで協議しているとは予想していなかった」とこの幹部はロイターに語った。

米大手消費財メーカーで中国における販売・マーケティングを担当する幹部によれば、社内での党組織は動きを活発化しており、地方政府が投資を奨励している地区に新たな施設を建設するよう求め、会社はそのように行動したという。

とはいっても、中国に進出している外資系企業幹部のあいだでも、社内の党組織の役割は限定的であり、当局との問題を解決するうえで役に立っているという声もある。米国に本社を置くフォーチュン500社企業の上海事業部に属する党メンバーによれば、社内の党組織はビジネス上の問題には関与せず、植樹や児童支援といった活動に参加しているという。

「(子どもたちと)一緒に観に行けるよう、映画のチケットが何枚かもらえる。国務院で会議があり、何かニュースがあると、箇条書きにしてメールで連絡してくる」と彼女は語った。

(翻訳:エァクレーレン)

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