January 5, 2018 / 11:58 PM / 16 days ago

コラム:2018年の世界はどうなる、重要な「5つのポイント」

Peter Apps

[27日 ロイター] - 予言することは難しいと専門家は言いたがる。未来の話となればなおさらだ。だが2018年の世界情勢を形成するであろう重要なテーマ、そして疑問を、ここでいくつか挙げておこう。

●モラー特別検察官の「ロシアゲート」捜査でトランプ政権終焉(しゅうえん)はあるか。

トランプ米大統領はタイム誌の2017年の「マン・オブ・ザ・イヤー」に選出されることを期待していなかっただろうが、2018年は、彼がどのような遺産を残すことになるのか明確に見えてくる年になるかもしれない。

まず、2016年大統領選においてロシアと共謀したという疑惑に対するモラー特別検察官の捜査が、どの程度の深さに及ぶのかハッキリするはずだ。

逮捕される著名人がさらに増えれば、検察官らが重要人物から捜査を進めるうえで有益な情報を得ていると推察される。特に重要なのが、フリン前大統領補佐官(国家安全保障担当)、トランプ氏側近のジョージ・パパドプロス氏だ。これまでもうわさはたくさん流れているが、詳細はほとんど分かっていない。

本当の問題は、モラー特別検察官が共謀にトランプ氏自身が関与していた証拠を押さえられるかどうかだ。検察官がトランプ氏本人に到達できなければ、トランプ氏の「ロシアゲート疑惑」の一部は解消していくだろう。

だが、大統領またはそれに近い筋が司法妨害を試みたことが明らかになれば、事態は急変するだろう。共和党が2018年中にトランプ大統領の弾劾に応じることはないという点で米政治専門家の見解はほぼ一致しているが、民主党が来年11月の中間選挙において共和党の不人気に乗じて上院・下院のいずれかで優位を占めるようになれば、その計算も変わってくる可能性がある。

●トランプ氏、あるいは北朝鮮が、脅しや虚勢を超えて軍事行動に踏み込むリスクはあるか。

北朝鮮を巡って今後考え得る展開は、多くの点で比較的予想しやすい。これまでの状況から考えると、金正恩氏がますます高性能な爆弾・ロケットの実験を続けていくのはほぼ確実と思われる。北朝鮮政府の米国本土に対する攻撃能力が増すにつれて、米国政府もいっそう攻撃的になっていくだろう。だが依然として、破滅的な災厄を引き起こす可能性のある何らかの攻撃を仕掛けることは躊躇(ちゅうちょ)する可能性が高い。

とはいえ、いくつかの不確定要素が残っている。なかでも最も明白なのは、米国防総省、あるいはそれ以外からも発せられる危惧の声をトランプ氏が無視し、金正恩体制と核兵器開発プログラムを軍事的な手段で抹消(まっしょう)しようと試みるかどうかだ。

今のところ、日韓両国は依然として米国による先制攻撃という発想を非常に警戒しており、韓国は繰り返し、そうした行動に対して拒否権を行使したいと述べている。

米韓両国の長年にわたる同盟関係を考えれば、トランプ大統領は、少なくとも理屈のうえでは、アジア地域に展開された地上配備型迎撃ミサイルによる北朝鮮の実験用ミサイルの撃墜を試みる前に、韓国政府の同意を得るべきである。

だが、こうした戦略にはリスクが伴う。迎撃ミサイルが標的を外した場合には、米国政府の信用失墜につながりかねないからだ。

核ミサイルによる脅威以外にも、北朝鮮のサイバー攻撃能力の向上は軽視できない。北朝鮮は米国の電力網システムへの侵入を試みた疑いがあるが、これが重要インフラに大損害を与える攻撃へとエスカレートする恐れがある。

ロシアと中国への注意も怠るわけにはいかない。これまでのところ、ロシア政府は北朝鮮政府による核開発を概ね支持しており、中国政府の方がはるかに強い警戒心を示している。いずれかの姿勢が変われば、金正恩氏の考えに影響を及ぼしても不思議はない。

何が起きるかはさておき、今後も虚勢の張り合いと制裁強化が見られるだろう。

●欧州における多くの危機は正念場を迎えるか。

欧州にとって、今年は波乱の1年だった。2016年の英国での欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)の是非を問う国民投票の衝撃後、フランスとオランダは国政選挙における極右勢力の挑戦を退けた。

だが10月に行われたドイツの総選挙では、メルケル首相に対する支持がこれまでより減少し、存続可能な連立政権を樹立するのに苦労している。したがって、ドイツが来年また選挙を行わざるを得なくなる可能性もある。

 12月27日、2018年の世界情勢を形成するであろう重要なテーマ、そして疑問を、ここでいくつか挙げておこう。写真はソウルで2017年11月撮影(2018年 ロイター /Kim Hong-Ji)

12月に行われた州議会選挙でカタルーニャ独立派が意外なほどの強さを見せたことで、スペインでは来年も国内の緊張が続くことになろう。新たに独立を問う住民投票が行われる可能性もますます強まっている。

問題は、欧州大陸における緊張が何一つ解消されていないことだ。政府の移民政策に対する不満、統一通貨ブロック維持のための苦闘、そしてもちろん、ブレグジットの実施方法を巡ってなお続くトラウマである。

ブレグジットを巡る問題は、2018年を通じて重要性を増していく。英国が2019年3月にEUを離れる前に、英国・EUの交渉担当者らは12月の予備合意を現実的な協定に変えていこうとするからだ。その作業が進むなかで問題が生じるのは確実だし、もし交渉が完全に破綻してしまえば、英国でも改めて選挙が行われるかもしれず、国民投票やり直しの可能性さえある。

極右勢力も消滅したわけではない。ベルギー、チェコ、オランダ、フィンランド、ハンガリー、アイルランド、イタリア、スウェーデンにおける地方・国政選挙の結果については、ポピュリストが勢いを増しているかどうかという兆候が注目されることになる。

●中東における米国の影響力が低下するなかで、新たな紛争は勃発するか。

在イスラエル米国大使館をテルアビブからエルサレムに移転させるというトランプ氏の決定が、あれだけ多くの反発と怒りを引き起こしたものの、2018年には、中東地域で起きる事件の核心部分に米国の影を見ることは少なくなっていく可能性が高い。

米軍は今後も過激派組織「イスラム国」その他の武装グループの残党の掃討を続けるだろう。だが、中東で何か事件が起きる場合に、主役はサウジアラビアやイランといった域内の大国であって、米国政府はますます脇役の座に甘んじるだろう。

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今年、イラクとシリアではイラン政府の影響力が強まったように思われ、スンニ派主導のサウジアラビア、それにサウジと同盟関係にある湾岸諸国が、ライバルであるシーア派主導のイランへの反撃を強めることが予想される。

最も多くの流血が生じる舞台は、引き続きイエメン紛争である可能性が高い。外部の世界からはほとんど見えていないが、イエメンでは人道上の危機が生じている。

さらに一部のアナリストは、サウジがイランの支援する代理勢力であるヒスボラを押し返すべく、レバノンへの新たな侵攻を検討するよう、ひそかにイスラエルを促していると確信している。

もう1つ注目に値する展開は、クルド人勢力がトルコ、シリア、そして特にイラク領内で強い影響力の確保に取り組んでいることだ。イラクでは、9月のクルド人地域独立をめぐる住民投票以来、対立は特に厳しくなっている。

●ロシアと中国で、権力への挑戦は強まるか。

2017年は全般的に、ロシア・中国の指導者たちにとっては良い年だった。西側諸国が緊急の対応を要する国内問題に悩まされる一方で、中国の習近平国家主席とロシアのプーチン大統領は、これまでにないほど権力をしっかりと掌握しているように見える。

だが水面下では、すでにそうした想定に疑問が投げかけられている。

ロシアでは年間を通じて反政府・反腐敗を掲げる抗議行動が次々に発生した。プーチン大統領の再選確実と思われる大統領選挙を混乱させるような展望は数少ないが、もちろんプーチン氏としては、そのような状況の1つが来年繰り返されることは避けたいと願っているだろう。

もっとも、反体制派・反腐敗活動家のアレクセイ・ナワリヌイ氏がプーチン氏に対抗して大統領選に出馬することを禁じられてしまい、選挙のボイコットを呼びかけたため、投票率は低下する可能性がある。

中国では9月、習近平氏が、5年に1度開催される共産党大会において、毛沢東氏以来最も強力な中国指導者としての地位を固めた。だがここでも、特に香港を中心として、不満と抗議が静かに高まっていく兆候が見られる。

こうした流れを背景に、両国のいずれかで2018年に激変が起きるとは期待できない。だが、はるかに重要な出来事が生じることを示唆している可能性があるので、注目するだけの価値はある。

*筆者はロイターのコラムニスト。元ロイターの防衛担当記者で、現在はシンクタンク「Project for Study of the 21st Century(PS21)」を立ち上げ、理事を務める。

*本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。(翻訳:エァクレーレン)

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