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コラム

コラム:為替操作国認定は、バイデン次期政権への「置き土産」

[ニューヨーク 16日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 名指しすることが常に悪いわけではない。特に「為替操作国」という呼び名は、使い方によっては役に立つ。米財務省は16日公表した為替報告書で、スイスとベトナムを為替操作国に認定し、貿易面で不当に有利な立場を得るために為替レートを動かそうとしたと非難した。バイデン氏は、ほぼ1カ月後に大統領に就任した後、このほとんど象徴的な措置を撤回する可能性はある。だが素直に考えれば、それがトランプ政権の置き土産だと理解できるだろう。

12月16日、名指しすることが常に悪いわけではない。特に「為替操作国」という呼び名は、使い方によっては役に立つ。写真はスイスフラン、米ドル、ユーロの紙幣。スイスのベルンで2011年8月撮影(2020年 ロイター/Pascal Lauener)

財務省の基準に従えば、為替操作国認定には3つの条件がある。具体的には当該国の対米貿易黒字、経常黒字、為替介入の規模に基づいて算定され、スイスとベトナムはこれを全て満たしている。外交評議会によると、今年第2・四半期に、財務省の基準を100%超えた米国の貿易相手国はこの両国だけだった。だから数字の上では、ムニューシン財務長官の決定は文句なく正しい。

それに比べて、来年1月20日の政権交代の直前にこうした発表をすることの影響は不鮮明だ。ある国が為替操作国に認定された場合、関税や各種制裁への道が開かれるとはいえ、自動的に懲罰的な措置が講じられるわけではない。その上、スイスが認定条件に当てはまるのは明白だが、軌道修正する機会はほとんどなかったのが実情だ。今年のスイスフランは下げるどころか、主要10通貨で最も堅調に推移している。政策金利は既にマイナス0.75%なので、中央銀行が追加利下げに動く余地も乏しい。

バイデン氏と同氏が財務長官に指名したジャネット・イエレン氏は、やろうと思えば政権発足時に全て白紙に戻せる。しかしそうする理由はあるのだろうか。国際貿易システムを巡る不満は、共和党とともに多くの民主党議員に共有されている。バイデン氏の経済政策に対する助言役であるセシリア・ラウズ氏、ジャレッド・バーンスタイン氏、ヘザー・ブシェイ氏らはこれまで、さまざまな機会にグローバル化が生み出す敗者に対する懸念を表明してきた。さすがにトランプ政権の代名詞となった保護主義は提唱しなかったが。

そのように見れば、せっかくムニューシン氏が最後に残してくれた今回の決定は、バイデン氏とイエレン氏が自らの立場を強め、国内の結束を固める手段に利用できる。次期政権が通貨の不均衡に対処する方法は、主要7カ国(G7)や20カ国・地域(G20)の連携強化や、トランプ政権が行ってきたドル安が望ましいというメッセージを送るのを慎むことまで数多い。貿易戦争をさらに突き進むのはいただけないが、新しい政権が貿易を誰のためにもなる形にすることに真剣に取り組むという姿勢を有権者に示すのは、何の問題もない。

●背景となるニュース

*米財務省は16日公表した外国為替報告書で、スイスとベトナムを「為替操作国」に認定。また通貨切り下げを行っている疑いがある「監視リスト」の対象に台湾、タイ、インドを追加した。

*為替操作国に認定した場合、米政府は国際通貨基金(IMF)と協議の上で当該国と交渉する。昨年には中国が1994年以来25年ぶりに為替操作国に認定された。

*認定の条件は、過去1年間の対米貿易黒字が200億ドル以上、経常黒字が国内総生産(GDP)の2%以上、ネットベースの為替介入額がGDPの2%以上。

*スイス政府は16日、スイスフランのいかなる操作にも関与しておらず、この問題で米財務省との話し合いには応じるとコメントした。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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