9月24日、日米欧で金融緩和環境の継続や強化が期待されながら、マーケットでは慎重ムードが強い。都内で8月撮影(2013年 ロイター/Yuya Shino)
[東京 24日 ロイター] - 日米欧で金融緩和環境の継続や強化が期待されながら、マーケットでは慎重ムードが強い。ドイツの大連立に向けた動きや米国の債務上限問題など不透明要素が多いためだ。
経済指標は依然として比較的堅調だが、市場は超緩和政策の裏側に存在する自律的な回復軌道に乗り切れない景気の弱さを感じている。リスクオン地合いではあるが、相場はしばらく一進一退が続くとの見方が多い。
<ECB総裁がLTRO追加の可能性に言及>
米金融政策をめぐる米連邦準備理事会(FRB)高官の発言が相次いでいる。10月にも量的緩和(QE)縮小に踏み切ることもあり得るという発言も出ているが、現在のFRB執行部の見解は、労働市場の改善が継続すると確信が持てるまで、資産買い入れは縮小できないとした米ニューヨーク連銀のダドリー総裁が示したとみられている。
市場では経済指標が急速に改善し、債務上限問題が解決すれば、10月にQE縮小決定の可能性もあるが、そうでなければ「12月もしくは来年1月まで延びる。金融緩和環境はしばらく続く」(外資系証券)との見方が多くなっている。
欧州では、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が23日、欧州議会の経済金融委員会で証言し、ユーロ圏のインフレを過度に低く押し下げかねない水準に短期金利が上昇することを回避するため、追加の長期資金供給オペ(LTRO)を実施する用意があると言明した。
日本でも「円高が進むような場合や、消費増税による経済への影響が懸念されるような場合には日銀が追加金融緩和してくれるとの期待がある」(三菱UFJ投信・戦略運用部副部長の宮崎高志氏)という。
しかし、日米欧で金融緩和継続、もしくは強化の期待が高まっているにもにもかかわらず、マーケットは積極的なリスクオンに傾くことができずにいる。23日の市場で欧米株は下落、金利は低下した。
<多い不透明材料>
「流動性相場」をエンジョイする猶予を与えられた投資家が積極姿勢に移れないでいるのはなぜか──。超金融緩和を継続せざるを得ない景気の足取りの重さを感じていることが一つの要因だ。
マークイットが発表した9月のユーロ圏購買担当者景気指数(PMI)速報値は、総合が52.1と2011年6月以来の高水準となった。だが、ドイツの総合PMI指数は53.5から53.8へと小幅上昇にとどまった。
「ドラギ総裁の発言は欧州経済に不安があるためではないか。欧州経済は最悪期は脱したとはいえ、債務問題は1─2年で解決できるものではない。ドイツの大連立に向けた動きにも不透明感がある。一方的なユーロ高を警戒しての発言だろう」と野村証券・投資情報部エクイティ・マーケット・ストラテジストの村山誠氏はみている。
米国でも、FRBがQE縮小決定を見送ったことで、雇用や住宅市場の弱さにスポットが当たってしまった。「失業率の低下は労働参加率の低下によるものだ。住宅市場も金利上昇で勢いが鈍っている」(国内証券)という。10月からの新会計年度を控え米債務上限引き上げ問題も懸念材料になっている。
<緩和マネーは日本に向かうか>
一方、新興国における急激なテーパリング(米QE縮小)による資金流出懸念は後退したが、その経済は依然として難しい問題に直面している。ブラジルだけでなく、インドもインフレ抑制のために利上げに踏み切った。構造改革を進めようとしている中国を含め、新興国の多くは政策運営上、景気押し上げ以外の要素を考慮しなければならない状況にある。
日米欧の金融緩和による過剰流動性の行き先について「消去法的に日本になる」(大手銀行)との期待もあるが、連休明け24日の東京市場で、日経平均<.N225>は欧米株安や円高を嫌気し小幅続落。市場筋によると、寄り付き前の外資系証券6社経由の注文状況は2日連続で売り越しだ。日本にも消費増税という大きな関門が待ち受けている。
東海東京調査センター・シニアストラテジストの柴田秀樹氏は、海外勢が日本への投資を再開してくれるためには、日本独自の材料が必要だと指摘する。「海外投資家の目を引き付けるには、日銀の追加緩和が効果的だ。テーパリングに移っていた関心をまた日本に向けさせることができる」との見方を示している。
私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」