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米大統領夫妻が新型コロナウイルス検査で陽性:識者はこうみる

[東京 2日 ロイター] - トランプ米大統領は2日未明、自身とメラニア夫人が新型コロナウイルス検査で陽性だったとツイッターへの投稿で明らかにした。自身の側近が検査で陽性と判定されたことを受け、検査を受けていた。

市場関係者に、影響について聞いた。

●早期回復なら経済再開が重要との主張裏付け

<三菱UFJののグローバルマーケット調査部門責任者デレク・ハルペニー氏>

一部のメディアはこれをリスク回避につながるイベントと報じている。民主党のバイデン前副大統領が大統領選で勝利する可能性が高まり、民主党の勝利は株式市場にはマイナスという見立てだ。だがわれわれはそうした見方に確信が持てない。

第一にトランプ氏は激戦州で優位性がある。そして新型コロナ感染が同氏の支持率に大きく影響する可能性は低い。実際のところ、すぐに回復すれば、経済の早期再開がはるかに重要との主張を補強する形になる。

●最悪シナリオは大統領選延期も

<ペッパーストーン(メルボルン) 調査部門責任者 クリス・ウェストン氏>

米大統領が人々を死に追いやるウイルスに感染したために市場はリスク回避となっている。

次のポイントはこのことが(トランプ米政権に)どの程度影響するかであり、それは大統領選などに大きく関係する。最悪シナリオとしては大統領選が若干延期される可能性もある。

しかし、それはわれわれが何について話しているのかにかかっている。彼(トランプ氏)が討論会に参加しない状況についてなのか、もしくは「私は克服した。私は戦士だ」と宣言するのに感染を利用するという状況についてなのか、といったことだ。多くの疑問があるが、今のところ回答はあまり得られない。

●基礎的条件に変化なし、様々なシナリオ

<AMPキャピタル 投資戦略ヘッド シェーン・オリバー氏>

指導者が陽性になったのは、これが初めてではない。大統領選の最中で、不透明感が増す可能性はあるが、ファンダメンタルズ(基礎的条件)面の見通しに変化はない。

トランプ氏に同情票が入る可能性もある。

10月2日、トランプ米大統領は、自身とメラニア夫人が新型コロナウイルス検査で陽性だったとツイッターへの投稿で明らかにした。自身の側近が検査で陽性と判定されたことを受け、検査を受けていた。写真は5月、ホワイトハウスから出発するトランプ夫妻(2020年 ロイター/Carlos Barria)

大統領選が近づいている上に、景気刺激策を巡る交渉も難航しており、市場はすでにやや神経質な展開となっていた。

今後は、様々なシナリオが予想される。トランプ氏の症状が軽ければ、数日で終わるだろう。症状が悪化して入院すれば、市場の懸念はかなり強まる。

トランプ氏が選挙戦を中断すれば、大統領選で敗北するのではないかとの懸念が高まる可能性もある。

一般的には、市場は現職の勝利を好む。トランプ氏が勝利すれば、バイデン氏が勝利した場合よりも、税負担と規制が減るとの見方が出ている。

ただ、景気刺激策を巡る問題は複雑だ。トランプ氏が敗北し、民主党が上下両院を制すれば、景気刺激策が実現する。そうなれば、増税の影響も相殺できる。恐らく、民主党の全勝が市場にとって望ましいシナリオだろう。

●選挙活動に制約、トランプ陣営に痛手

<ウエストパック 為替ストラテジスト ショーン・キャロー氏>

トランプ氏の選挙活動が制約される可能性がある。また同氏は新型コロナウイルスはさほど懸念する必要はないと主張していたため打撃となる。(大統領選で)新型コロナが再び中心的なテーマになる。

ただ支持率への影響は前例がないため、なんとも言えない。トランプ陣営には痛手だろう。(民主党のバイデン候補に)後れをとっておりトランプ氏に(選挙運動に)出てほしいからだ。

●現段階で過度に不安視は禁物

<岡三オンライン証券 シニアストラテジスト 伊藤嘉洋氏>

トランプ米大領領の新型コロナウイルス陽性が伝わり、時間外取引の米株先物が売られたことを受け、日本株も下げ足を速めた。先物の仕掛け売りが入ったとみられるが、重症化ともなれば、その限りではないながら、現時点では過度に不安視するのは禁物で、冷静に対処すべき材料とみている。実際、日経平均は2万3000円台を割り込んだ後は、下げ渋っている状況だ。

このところの相場は、方向感が定まらない状態が続いて、何か新しい材料を待っていた。そうしたところに出た悪材料のため、週末という事情も加わり、利益確定売りが加速した格好となっている。足元の経済統計は堅調なものが目立っており、その点から売り込む環境ではない。米大統領選挙に影響はあるとみられるが、慌てず様子をみたい。

●選挙はさらに不透明感

<三井住友銀行 チーフ・マーケット・エコノミスト 森谷 亨氏>

現時点では症状が出ていないようであり、隔離されても業務の執行はできるであろうから、この面では大きな混乱は出ないとみている。英国のジョンソン首相などが感染した際も、政策面で大きな混乱はなかった。

ただ、大統領選に向けては不透明感がさらに増してきた。いったんマーケットはリスクオフになるだろう。トランプ大統領が国民に直接、語り掛けて盛り上げるという得意のやり方が難しくなった。オンライン形式での選挙戦になるのだろうが、これがどう影響するかまだ不明だ。

ただ、トランプ氏は、回復した際はタフガイぶりをアピールするなど、これを生かすことを考えるだろう。

●株市場下げ幅拡大の可能性低い

<野村証券 投資情報部投資情報二課・課長代理 神谷和男氏>

トランプ米大統領の新型コロナウイルス感染を受けて、日経平均は2万3000円を割り込む展開となっているが、今後下げ幅が拡大する可能性は低いとみている。米国の積極的な金融緩和姿勢は変わらないため、大統領の新型コロナ感染がマーケットに与える影響は現時点では限定的だろう。

次回の世論調査でトランプ氏の支持率が大きく下落するようなことがない限り、バイデン氏優勢とみるのは時期尚早で、株式市場がこれ以上大きく下落することは考えにくい。

●米株先物の売り反応、不安心理の表れ

<大和証券 チーフグローバルストラテジスト 壁谷洋和氏>

トランプ大統領は74歳と高齢。意外に軽症で済んで復活するのか、軽口が叩けないくらい深刻な状況になってしまうのか、現段階で分からない。分からないからこそ、米株先物は不透明感と不安心理で売られている。

大統領選の最終盤での感染となるが、これでトランプ氏の敗北が決定したかといえば、そういうことも言えない。選挙は水もの。同情票を集めたり、復活を遂げてコロナに打ち克つ姿をアピールするかもしれない。とりあえず2週間後に大統領選候補者による第2回討論会も控えている。これに出席できるか、出席するとしてどういう形で出てくるのか注目だ。

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