4月11日、決算発表シーズンを控え、米大手金融機関の首脳が、国内経済の減速についてどのように情報発信すればよいか頭を悩ませている。 写真は10日、米下院金融サービス委員会に出席した米金融大手の首脳ら(2019年 ロイター/Aaron P. Bernstein)
[ニューヨーク 11日 ロイター] - 決算発表シーズンを控え、米大手金融機関の首脳が、国内経済の減速についてどのように情報発信すればよいか頭を悩ませている。
特に対応に苦慮しているのが「リセッション(景気後退)」という言葉。米経済が減速するなか、この言葉は事実上、禁句となっており、一部では「Rワード」と呼ばれている。
多くのエコノミストは景気後退を予想しているが、大手行の首脳が景気後退を予想すれば、自己成就的な予言となりかねない。その一方で、市場の懸念を煽らないよう景気後退の可能性を否定すれば、「経済情勢を把握していない」「不正直だ」といった批判を受けかねない。
今週の議会証言で、米経済の最大のリスク要因を1つ挙げるよう求められたシティグループのマイケル・コルバット最高経営責任者(CEO)は「我々の発言によって次の景気後退を招き得ることだ」と答えた。
銀行の幹部や広報関係者によると、決算発表に備えた会議では、Rワードが議題に上がる。
どうすれば投資家を不安にさせず、正しい情報を発信できるのか。モルガン・スタンレーやクレディ・スイス・グループで広報担当を務め、金融コミュニケーション会社CLPストラテジーズの創業パートナーを務めるペン・ペンドルトン氏によると、定石はいくつかある。
例えば、貸出債権や市場部門に不吉な兆候が見られる場合、「課題に取り組む上で競争上優位な立場に立っていると確信している」といった伝え方が望ましい。
また、特に経済見通しが悪化している場合、銀行首脳は先行きに関する発言には慎重になるが、自社のエコノミストの予想を引用すれば、首脳自身の予測を示す必要がなくなるという。
大手銀行の元顧問によると、受託義務から投資家に悪いニュースを伝える必要があると判断した場合も、「一時的に悪化しているが、将来の見通しは明るい」といった伝え方が考えられるという。
大手行の首脳は自身の発言が相当な重みを持つことを自覚している。景気後退に関する発言がニュースになれば、株価も敏感に反応する。
JPモルガン・チェースのマリアン・レイク最高財務責任者(CFO)は、2月(訂正)の投資家向け会合で「景気後退のサインが、赤く点滅しているわけではないが、視界に入っている」と発言。これを受け、同行の株価は1.7%値下がりした。
その後、ジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)が、同行の利益率目標引き上げ見送りについて、国内経済に関する警告を発しているわけではないと述べたほか、景気後退への「備えはしている」が景気後退は予想していないと発言。これが株価回復につながった。
ウェルズ・ファーゴのアナリスト、マイク・メイヨー氏は「発言が切り取られて引用される世界では、景気後退のリスクについて微妙な発言をするのは難しい」と指摘。「(市場への)警告と、景気後退への備えはできているという発言は、紙一重の差だといえる」とコメントした。
*第11段落目の投資家向け会合開催は3月から2月に修正します。
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