アングル:商品価格が下落、世界経済に好影響も

ロイター編集
アングル:商品価格が下落、世界経済に好影響も
4月21日、原油などの商品価格が下落しており、市場では企業の利益率向上など、世界経済にじわじわと好影響を及ぼすのではないかとの見方が出ている。写真はサウジアラビアの首都リヤドのガソリンスタンドで昨年12月撮影(2013年 ロイター)
[ロンドン 21日 ロイター] 原油などの商品(コモディティ)価格が下落している。市場では、航空運賃や食料品の値下げ、企業の利益率向上など、世界経済にじわじわと好影響を及ぼすのではないかとの見方が出ている。
商品市場には、過去10年間で約4000億ドルの投資資金が流入したが、各国中銀の金融緩和にもかかわらず、世界経済の回復の足取りは重く、S&P・GSCI商品指数<.SPGSCITR>は今年に入り、6.6%下落している。
商品価格の下落は、サウジアラビアやブラジルなど資源国の経済にとってマイナス要因だが、天然資源の純輸入国にとっては朗報となる。
ABNアムロのエコノミスト、ハン・デ・ジョン氏は、商品価格の下落について、物価下落が個人消費の下支え要因になるため、全体でみれば世界経済にプラスだと指摘。
ただ、大半の企業では、原材料コストはコスト全体のごく一部を占めているに過ぎず、特に競争が激しい業界では、利益率向上につながらない可能性もある。
<金よりも原油に注目>
商品市場では、今月15日に金が30年ぶりの急落を演じ、市場関係者の注目を集めたが、世界経済にとっては、原油価格の下落のほうがはるかに重要な意味を持つ。
北海ブレント原油先物は2月8日につけた年初来高値1バレル=119.17ドルから約16%値下がりしている。
JPモルガンは、原油価格が供給増加を背景に15%下落すれば、今年の世界経済成長率が0.2%ポイント押し上げられると予測。
ただ、原油価格の下落が経済見通しの悪化を反映したものであれば、同じ15%の下落が、今年の世界経済成長率見通しの0.5%下方修正を意味するという。
<中国、インド、インドネシアに恩恵>
食品価格の下落は、インドネシアなど高インフレ国で特に歓迎されるとみられる。
インドネシア中銀の副総裁は、食品価格の下落で、4月の消費者物価指数(CPI)上昇率が前月比0.1%未満になると予想。
中国でも、インフレ圧力の低下で、政策発動余地が広がるとの見方が出ている。
中国社会科学院の袁鋼明研究員は「国際商品価格の下落は中国にとって明らかに朗報だ。輸入インフレ圧力が低下すれば、与信拡大・金融緩和の余地が大幅に増える」と述べた。
インドでは、商品価格の下落が、インフレ抑制に加え、「双子の赤字」の削減につながるとの期待が出ている。
インドの輸入(金額ベース)の約45%は原油と金。さらに政府は、燃料や肥料に多額の補助金を支給しており、商品価格の下落が経常赤字と財政赤字の削減につながるとの見方が出ている。
半面、資源国のオーストラリアは「負け組」となりそうだ。
同国は、アジア向けの鉱物・エネルギー輸出で20年以上にわたってプラス成長を維持してきたが、政府はすでに、商品価格の下落と豪ドル高を受けて、税収予測を下方修正している。
( Alan Wheatley記者;翻訳 深滝壱哉 編集 吉瀬邦彦)

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