12月23日、2017年はインフラ産業が少し華やぎそうだ。老朽化したインフラの改善に数十億ドルを投じ、生産性の向上と景気拡大に結び付けることの必要性は、トランプ次期米大統領、メルケル独首相、メイ英首相の意見が一致する数少ない論点の1つになるだろう。写真ロンドン金融街の建設現場。1日撮影(2016年 ロイター/Kevin Coombs)
Andy Critchlow
[ロンドン 23日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 2017年はインフラ産業が少し華やぎそうだ。老朽化したインフラの改善に数十億ドルを投じ、生産性の向上と景気拡大に結び付けることの必要性は、トランプ次期米大統領、メルケル独首相、メイ英首相の意見が一致する数少ない論点の1つになるだろう。
長年ご無沙汰だった建設ブームが再来すれば、低迷していたインフラ株が日の目を見ることになる。
世界75企業で構成するS&Pグローバル・インフラ指数はここ10年間横ばいで、ナスダック、S&P主要500種株価指数のいずれに比べても大幅にアンダーパフォームした。この一因は、先進国企業がアジアや中東など予見性の低い発展途上国の建設案件に依存し過ぎていることにある。このこと自体、先進国でインフラ投資がいかに不足していたかを浮き彫りにしている。
国際通貨基金(IMF)によると、1980年にはG7諸国全体の固定資本形成が域内総生産(GDP)の25%を超えていたが、2014年には20%に減っている。固定資本形成とは、政府部門と民間部門によるインフラ、建物、土地投資などの合計だ。英国、ドイツ、米国の割合はこの水準をも下回る。英国の政府部門の純投資額(インフラ投資をより正確に反映する額)はGDPの2%前後をさまよっているが、1960年代には毎年6%程度だった。
こうした状況が変わろうとしているのかもしれない。トランプ次期大統領は選挙期間中、公共事業に5000億ないし1兆ドルを投資する可能性を示唆していた。ドイツも来年の選挙でメルケル首相が再任されて4期目に入れば、インフラ投資を増やす可能性がある。英政府は11月23日、今後5年間で新規インフラに230億ポンドを追加投資すると約束した。
ただインフラ企業が見境なく人員採用を増やしてよい状況ではない。英国を例に取ると、2020/21年度までに経済インフラに2400億ポンドを割り当てているが、政府部門が出すのはこの3分の1程度で、残りは民間が関与する必要がある。この公費の投入により、政府部門の純投資額はGDP比2.3%に戻るにすぎない。
とはいえ、これでも過去30年間のほとんどの時期に比べれば多いし、その他の国々の計画はこれから出てくる。インフラ企業はある程度は他のセクターとの差を縮められるはずだ。
●背景となるニュース
・11月15日にロイターが報じたところでは、トランプ次期米大統領はインフラ予算5000億─1兆ドルを議会に提案すると約束した。
・メルケル独首相とメイ英首相も主要公共事業への投資拡大を検討している。
・マッキンゼー・グローバル・インスティテュートは6月のリポートで、世界が現在の成長予想を達成するには、2030年まで年間3兆3000億ドルの経済インフラ投資を続ける必要があると分析した。
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