新年度相場への期待低下、海外勢の日本株売りを警戒

ロイター編集
新年度相場への期待低下、海外勢の日本株売りに警戒続く
 3月31日、あす4月1日から名実ともに新年度相場入りとなるが、日経平均の上値は重く、投資家の顔色はさえない。最大の要因は主役の海外勢が日本株に対して慎重スタンスを継続していることだ。写真は都内で昨年8月撮影(2016年 ロイター/Yuya Shino)
[東京 31日 ロイター] - あす4月1日から名実ともに新年度相場入りとなるが、日経平均の上値は重く、投資家の顔色はさえない。最大の要因は主役の海外勢が日本株に対して慎重スタンスを継続していることだ。
円高に伴う企業業績懸念やアベノミクスへの失望などが背景にあり、海外勢のスタンスを転換させるのは、やはり政策頼みとならざるを得ない。
<物色圏外の日本株>
米利上げ懸念を和らげた29日のイエレン米連邦準備理事会(FRB)議長発言が効果を示し、「恐怖指数」と呼ばれるシカゴ・ボラティリティ指数(VIX)<.VIX>は30日、13.56と昨年8月以来の水準まで低下した。欧米株市場では「リスクオン」の地合いが続き、戻りを試す展開だが、日経平均は年初から10%強安い水準でもたついている。日本株はグローバル投資家の物色圏外に放置されているようだ。
海外投資家による年初からの日本株売り越しは、現物・先物の合算(1月1週―3月3週)で5兆円を超えた。31日発表分の3月4週は先物買いにより売り買いがほぼ均衡したが、現物市場では公的年金や個人の買いに海外勢が売り向かう構図が変わっていない。
日本株売りの理由について市場関係者の見方は、円高による企業業績懸念、アベノミクスへの失望、の2点で一致している。31日の東京株式市場では、前日に円高などの影響で通期予想の下方修正を発表したアンリツ<6754.T>やミツミ電機<6767.T>が売られ、「先行きの下方修正ラッシュが懸念される状況」(国内証券)という。
1日発表の3月日銀短観では、すでに悪化を織り込んでいる業況判断DIではなく、大企業・製造業の想定為替レートが市場の最大の関心事となっている。
「想定レートが112―113円の実勢に近い数値であれば、4月以降に発表される新年度の企業業績予想に反映されるとみられ、来期予想は悲観的な数字が並ぶ可能性が高まる」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券シニア投資ストラテジストの荒井誠治氏)との声も出ている。日米欧のPER比較で日本株は割安との見方もあるが、来期予想の中身次第で割安感は消滅することもあり得る。
<マイナス金利も影響>
足元の国内経済指標が低調で、アベノミクスに対する海外勢の期待もはがれている。アムンディジャパンのチーフエコノミスト、吉野晶雄氏は「安倍政権発足後の日本株はコーポレートガバナンス改革やアベノミクスなどが材料視され、もともとグローバルな資金フローに関係なく買われていた。直近の世界的なリスクオンでも買われないのはアベノミクスの期待がなくなった反動に加え、マイナス金利の悪影響も意識された」とみている。
マイナス金利導入後の銀行株安は投資家のマインドを低下させた。マイナス金利の影響で企業年金に適用される割引率が低下すると年金積立不足が拡大し、企業の利益を圧迫する懸念も出てくる。
2016年度予算が成立し、政府は消費刺激策や成長戦略など経済対策の具体的な検討に入るとみられている。インフラ整備や子育て支援、観光立国などメニューは豊富だが、アムンディの吉野氏は「海外勢の投資姿勢が転換するには、国債増発を伴う腰の入った規模の経済対策になるかどうかがポイントだ」と指摘する。海外勢にはまだ浸透していない消費増税の延期・凍結表明も効果的だという。
一方、1990年以降の米利上げと円/ドルの推移をみると、米利上げから半年程度はむしろ円高に振れやすい傾向がある。金融政策の限界論もささやかれる中で「円安ドライバー」が見当たらず、仮に財政の支えがあっても株価を押し上げるには力不足となる可能性が大きい。
4月17日にカタールの首都ドーハで原油増産凍結の最終合意に向けた産油国会合が開かれる見通しだが、結果次第では原油価格の再下落が懸念される。リスクオンの波に乗れない日本株がリスクオフの波だけに乗る可能性は否定できない。

河口浩一 編集:石田仁志

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