[東京 10日 ロイター] - <政治評論家(元時事通信解説委員) 原野城治氏>
安倍晋三元首相の国葬や今回の内閣改造をみると、岸田文雄政権は決定は早いが、もう少し自分の路線を鮮明にした方がよいのではないか。
例えば、自民党の甘利明前幹事長の系列にある小林鷹之経済安保相を閣僚から外す一方で、山際大志郎経済再生相は留任させるなどバランスを欠いている。いろいろなところに気を使いすぎて今後首相が主導権を発揮しにくいのではとの懸念を感じる。
安倍派は(相対的に若手の)萩生田光一経産相を政調会長に就けたことで、派閥の遠心力が働くだろう。国葬を境に、安倍派の分裂騒動、さらなる党内抗争を誘引しかねない火種をかかえた人事と言える。
林芳正外相は党内保守派から攻撃が強まる可能性がある。防衛族の浜田靖一氏を防衛相に起用し、岸信夫防衛相を安保担当首相補佐官に就けるが、やや中途半端な印象だ。 憲法改正を本当に実現するのであれば、来年の秋など、確認の意味の総選挙で信を問う必要があるが、今回の組閣からは、岸田首相がそのように考えているとはみえにくい。
つまり、場当たり、つじつま合わせ改造内閣。やるべき政策、問うべき憲法問題などをう回したのは安易な危機回避型だ。
旧統一教会が記者会見を内閣改造の日に合わせてきた。重ならないように調整するのが自民党幹事長の仕事のはずだができていない。旧統一教会の根は深く、やがて火を噴くかもしれない問題などを抱えて、挙党一致、党内融和は遠い。
日本を取り巻く経済・外交上の課題は山積している。防衛費拡充をうたっているが、 田中角栄内閣では狂乱物価による金利上昇で当時の第4次防衛力計画整備を実現できなくなった。似たような状況となる可能性がある。
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