アングル:トランプ相互関税、違憲でも終わらない米国の物価高

アングル:トランプ相互関税、違憲でも終わらない米国の物価高
写真は1月16日、米ニューヨークの市内のコストコ店舗で撮影。REUTERS/Brendan McDermid
[24日 ロイター] - トランプ米大統領の「相互関税」に違法判決が出たことで価格下落を期待する消費者は、失望する可能性が高い。企業はこれで得られる猶予を、依然として高止まりするコストの相殺や、長い時間がかかりそうな還付金の回収に向けた備えに充てる構えだからだ。
会員制量販店のコストコ(COST.O), opens new tabからタイヤメーカーのグッドイヤー・タイヤ&ラバーまで、関税還付を求めて政府を提訴していた企業にとって、最高裁の判決は大きな勝利となった。
しかし最高裁は、政府が既に徴収した推定1750億ドルの還付方法には言及していないため、輸入業者、弁護士、政府当局者を役所手続きの「迷宮」が待ち受けている。
しかもトランプ氏は新たな関税を導入した。
アパレル企業プリンセス・オウサムの共同オーナー、エバ・セントクレア氏は「当社は関税コストを全て吸収してきた。誰かにそれを返す理由はない」と語る。
トランプ関税は物価を押し上げ、消費者信頼感の低下につながった。ニューヨーク連銀が12日に公表した調査報告書は、米消費者・企業が関税コストの約90%を負担していると結論付けている。
関税への怒りから、トランプ氏の経済運営に国民は厳しい目を向けるようになった。ロイター/イプソスの世論調査によると、2月半ば時点で経済対策に関するトランプ氏の支持率は34%と、第二次トランプ政権発足後の最低に近く、第一次政権時を大幅に下回った。
Shows IEEPA share of tariff revenues
アマゾン・ドット・コムでスクーターや収納ボックスを販売するスプリーテール社のジョシュ・ケッター最高経営責任者(CEO)は「価格変更の予定はない」と言う。同社は昨年約5000万ドルの関税を支払っており、「たとえ還付金を受け取っても、昨年の損失を部分的に補填できるだけだ」。還付手続きには数年かかると覚悟しつつ、もっと短く済むことを期待している。
<下がらない実効関税率>
トランプ氏は最高裁判決を受け、全世界からの輸入品に新たに10%の暫定関税を課すと決定。1974年の通商法で許容される最大値の15%まで税率を引き上げると表明している。ただし、同法では関税措置を延長するには150日後に議会の承認が必要。この法律を利用した関税措置は、さらなる提訴を呼び込む可能性がある。
玩具メーカー、ハンターのジェイソン・チュンCEOは先週、最高裁判決が出る前の時点で、価格は下がりそうにないとの見方を示していた。「もっとも、購買意欲を再び高めるために顧客に対してより大幅な値引きを行う可能性はある」という。
スプリーテールのケッター氏は、新たな関税によってビジネス運営を変えることはないと話した。一方でプリンセス・オウサムのセントクレア氏は、150日が経過するまで貨物が米国に入らないよう、入荷時期を調整すると語った。
エール大学予算研究所によると「相互関税」が覆される前、米消費者が直面していた平均実効関税率は16%と、1936年以来で最も高かった。判決により関税率は一時的に9.1%まで下がったが、15%の関税が実施されると13.7%に上昇する見通しだ。
エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)の北米・グローバル経済担当主任エコノミスト、ジョシュア・ベイリー氏は「総合的な実効関税率は先週と比べてそれほど低下していない。企業が過去の値上げの撤回に消極的であることを考え合わせると、今回の決定が家計に大きな安らぎをもたらす可能性は低いだろう」と述べた。
A horizontal bar chart. Countries with tariff reductions are shown in green (e.g., UK +2.05, Italy +1.7), while increases appear in red (e.g., China −7.14, Brazil −13.56).

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トムソン・ロイター

Arriana McLymore is a New York-based reporter covering e-commerce, online marketplaces, alternative revenue streams for retailers and in-store innovation. She previously reported on telecoms and the business of law.