
強力な磁力を持つネオジム磁石の製造に必要なレアアース(希土類)材料、ネオジム・プラセオジム(NdPr)の価格が、2年超ぶりの高水準を付けた。資料写真、カリフォルニア州マウンテンパスのレアアース鉱山、2020年1月撮影(2025年 ロイター/Steve Marcus)
[ロンドン/北京 26日 ロイター] - 強力な磁力を持つネオジム磁石の製造に必要なレアアース(希土類)材料、ネオジム・プラセオジム(NdPr)の価格が、2年超ぶりの高水準を付けた。需要が増える中で、米国内唯一のレアアース採掘企業MPマテリアルズ(MP.N)が中国の主要磁石メーカーへの原料輸出を停止したことが要因だ。
NdPrはネオジムとプラセオジムの合金。NdPr酸化物は電気自動車(EV)、風力発電用タービン、防衛装備品の生産に不可欠な材料。
コンサルティング会社アダマスによると、MPマテリアルズは過去3年間に中国のNdPr酸化物生産量の7―9%を供給していた。
アナリストらによると、MPマテリアルズは高関税を理由にして中国向け出荷を4月に一時停止した。米国からのレアアースの対中供給量は5月に減少し、6月にはゼロとなったが、7月は急増した。アナリストらは、これがMPマテリアルズからの最終出荷分だとの見方を示す。
アダマスのライアン・カスティルー最高経営責任者(CEO)は「MPマテリアルズの出荷は中国工場向けNdPr酸化物供給の非常に重要な部分を占めていたため、大きな空白が生じている」と指摘した。
中国の指標となるNdPr酸化物価格は1立方トン当たり63万2000元(1キロ当たり88ドル)と、2023年3月以来の高値を付けた。今年7月9日時点では1キロ当たり63ドルにとどまっていた。
<トランプ政権が囲い込み>
中国はレアアースで世界の精製能力の約9割、採掘量の約7割をそれぞれ占め、レアアース市場のサプライチェーン(供給網)を支配している。今年4月、輸入品への関税を強化したトランプ政権に対抗するため、中国はレアアースの輸出規制を強化。調達難から一部の自動車工場が操業停止に追い込まれた。
トランプ米政権は対抗して7月に国内での加工に向けてMPマテリアルズと契約を締結した。MPマテリアルズに対して当時の市場価格水準のほぼ2倍の最低価格を保証。また同社が生産するNdPrについて、当時の中国での価格の約2倍に相当する1キロ当たり110ドルと、中国での市場価格の差額をMPマテリアルズに支払うことなどを盛り込んだ支援策も盛り込んだ。
<需要拡大観測>
NdPr価格は近年、供給過剰により押し下げられていた。24年3月には34万5000元と、20年11月以来の安値を付けた。
だが最近の価格上昇は需要回復も後押ししている。コンサルティング会社ベンチマーク・ミネラル・インテリジェンスのレアアース調査責任者、ネハ・ムカジー氏は「中国では現在、EVや風力発電用タービン、家電製品の製造がピーク期を迎えている。この需要の周期的な増加が、NdPrの需給逼迫にさらなる圧力をかけている」と指摘した。
アダマスのカスティルー氏は、今年の需要が約10%増加する一方、中国での生産量は5%増と緩やかな増加にとどまるとの見通しを示した。
アルガスの金属価格担当責任者エリー・サクラトバラ氏は「NdPr製品のメーカーは現在、価格が赤字圏から脱したことに安堵している。問題は磁石メーカーなどの買い手側で、高騰した原料価格を支払い続けるのに十分な利益率を確保できるかどうかだ」と話した。
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