ドルは80円前半、日銀法改正議論で「ハンガリーの悲劇」指摘も

ロイター編集
ドルは80円前半、日銀法改正議論で「ハンガリーの悲劇」指摘も
11月15日、正午のドル/円は80円前半で、日銀の追加緩和期待から円売りに傾いた海外市場の流れを引き継ぎ、底堅い動きに。写真は100ドル紙幣。都内で2011年8月撮影(2012年 ロイター/Yuriko Nakao)
[東京 15日 ロイター] 正午のドル/円は、ニューヨーク市場午後5時時点から変わらずの80円前半。日銀の追加緩和期待から円売りに傾いた海外市場の流れを引き継ぎ、底堅い動きとなった。輸入企業の買いも相場を下支えした。
ただ、市場では日本サイドの材料だけでは上値余地は限られるとの見方が目立つ。
ドル/円は80.12─80.28円のレンジで取引された。新政権になれば日銀の緩和が強化されるとの思惑に加え、輸入企業の買いが相場を下支えした。
ドル/円をめぐっては、前日の野田首相の解散表明をきっかけに、海外勢を中心に円安期待が高まっているが、日本サイドの要因だけでは円安の動きは限られるとの見方も少なくない。
海外勢の動きについて、大手邦銀関係者は「日米金利差や『財政の崖』などの問題もある。日本だけの理由で、85円などを展望しているかというと、それはないようだ」と指摘。上値のめどについては「大統領選挙後には81円がせいぜいだという人が増えていたが、きのうの野田首相の解散表明を受け、83円程度をみるところが多くなっている」と話していた。
リスクオフムードも足を引っ張る可能性がある。「『財政の崖』に対する懸念やギリシャをめぐる不透明感を背景にリスクオフの流れが続き、米長期金利が低下するような状況下で円がアンダーパフォーマンスを続ける可能性は低い」(外銀)という。「ここかさらに円安に行くには、米金利上昇などが必要」(国内証券)との見方もあった。
<ハンガリーの悲劇>
円安期待が高まっている背景には、安倍自民党総裁が金融緩和強化を主張していることがあるが、参加者からは安倍総裁の強硬姿勢、とりわけ日銀法改正に言及していることに懸念を抱く声も出ている。
みずほコーポレート銀行国際為替部マーケット・エコノミスト、唐鎌大輔氏はハンガリーの例を挙げ「昨年12月、ハンガリー議会はハンガリー中銀総裁が持つ副総裁の指名権限を剥奪し、政策金利を決定する委員会は3人目の副総裁を置くことで拡大するという中銀への規制法案を可決した。これを受けてIMF/EUは進行中のハンガリーへの金融支援を停止し、格付け機関も同国国債をジャンク級へ格下げ、ハンガリーフォリントも急落するなど徹底的に洗礼を浴びた」と指摘。
フォリントと円では相場構造が異なるので一概には言えないとしつつも、「仮に、安倍総裁が口にしているような『政府の期待に応えなければ責任を取ってもらう』というスタンスが日銀総裁の人事権まで包括するようなものになった場合、円相場が金融危機後に経験したことのないような急落に見舞われる可能性は否定できない」と懸念を示した。
ハンガリーはその後、中銀法改正の修正を余儀なくされている。
(ロイターニュース 志田義寧)

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