アングル:参院選、医療大麻の解禁求める公約は支持されるか

ロイター編集
アングル:参院選、医療大麻の解禁求める公約は支持されるか
 7月8日、日本は銃と麻薬に寛容でないことに誇りを持っているが、10日投開票の参議院選挙において、あるミニ政党が初めて医療用大麻の研究解禁を求める公約を表明した。写真は栃木県鹿沼市にある大麻畑。5日撮影(2016年 ロイター/Issei Kato)
[東京 8日 ロイター] - 日本は銃と麻薬に寛容でないことに誇りを持っているが、10日投開票の参議院選挙において、あるミニ政党が初めて医療用大麻の研究解禁を求める公約を表明した。
医療用大麻の利用によって、がんに伴う苦痛を和らげ、認知症を防ぎ、高騰する医療費を削減できると賛成派は指摘。だが、日本政府はその効果が立証されていないとして、大麻使用の制限緩和による社会的な悪影響を懸念している。
カナダや米国といった先進国で大麻の医療利用を認める流れがある一方で、日本は大麻の所持や栽培を違法としており、臨床研究での大麻利用も禁じている。
新党改革から参院選に立候補した女優の高樹沙耶氏(52)は、「日本と世界でこの乖離の激しさ。どちらを信じていいか、私たちは分からなくなる。まずは研究して、真実を突き止めようと声を上げた」と話す。「1日も早い研究と(医療大麻の)導入をして欲しい」
大麻の医療使用の合法化は、国内人口の約4分の1超を占める高齢者の間で支持を得ている。
「それをよい方に使えれば、患者としてはこんなによいことはない」とがんを罹患した78歳の女性は都内での買い物中に語った。「一時でも痛みが遠のくのであれば、本当にいい」
安倍晋三首相の妻、昭恵夫人は保守的な世の中の流れに抗うことで有名だが、大麻の医療使用にも条件付きで賛同している。
「医療用として大いに活用できると思う」。昭恵夫人は昨年12月、雑誌「週刊SPA!」の記事でこう引用されている。
記事の中で、昭恵夫人は、かつて大麻(ヘンプ)農家になることを検討したことがあるとも述べている。大麻栽培には特別な免許が必要だが、かつて大麻は繊維産業や神道の儀式などで広く利用されていた。
ロイターの取材に対し、昭恵夫人は、きちんとした方法で医療大麻が導入されるなら、推進してもよいのではないかとの意見を持っていると秘書を通してコメントした。
政府は、科学的な根拠なく医療用大麻を合法化することは時期尚早と説明している。
「WHO(世界保健機関)は現時点で科学的根拠があると認めていない」と厚生労働省の担当者は指摘。「すでに大麻が濫用されている状況下で、よく見極めることが必要だ」と同担当者は匿名で取材に応じた。
他方で、適切な管理の下であれば、医療利用の可能性を探ることはできると反論する医療専門家もいる。
大麻に含まれる化学物質の医療利用を研究する学会の理事長を務める新垣実氏は「大麻を世に放てと言っているわけでは全くない」と言明。「ただ、使ったときに、どれだけの害があり、どれだけの益があるのかをきちんと研究して、患者に役立つのであれば使おうと言っている」と語った。
(Kiyoshi Takenaka記者、翻訳:高橋浩祐、編集:下郡美紀)

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