May 17, 2019 / 4:49 AM / 3 months ago

コラム:仮想通貨ビットコインの土台なき回復劇

[ニューヨーク 16日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 仮想通貨ビットコインがこの6週間で2倍に高騰し、昨年の暴落で遠のいていた投資家の関心が復活している。

FILE PHOTO: A collection of Bitcoin (virtual currency) tokens are displayed in this picture illustration taken December 8, 2017. REUTERS/Benoit Tessier/File Photo

しかし土台となるブロックチェーン技術はまだ根付いておらず、仮想通貨が今後も険しい道をたどるのは間違いなさそうだ。

ビットコインは2017年に20倍にも跳ね上がって2万ドル近くを付けたが、その後の1年間で約85%下げた。競合する仮想通貨の多くは不正や未熟な技術、当局の取り締まりによって消え去り、投機バブルははじけた。それでもウォール街は諦めていない。

今週ニューヨークで開催中の「ブロックチェーン・ウィーク」の冒頭で、ニューヨーク証券取引所を運営するインターコンチネンタル取引所(ICE.N)はビットコインの先物取引と保管サービスを7月に始動すると発表した。投信大手フィデリティも保管サービスを準備中だ。

コインベース社は昨年10月に同様のサービスを開始し、10億ドルの資金を集めた。これはヘッジファンドや財団など、業界の主流も仮想通貨市場に参入し始めたことをうかがわせる。

仮想通貨はまだ黎明期にある。コインマーケットキャップによると、2000を超える仮想通貨の総額は2500億ドル未満と、米S&P500種総合株価指数の時価総額の1%にすぎない。しかも大半の仮想通貨はひどく流動性が低い。ただ、米中貿易戦争への懸念から株価が急落した過去1週間にビットコインが2000ドルも急騰したことは、他資産と相関しない資産としての仮想通貨の価値を再認識させた。

仮想通貨熱の根底にあるのは、ウエブ・ブラウザーの登場がインターネット時代の幕を開いたように、いずれブロックチェーン技術が金融やビジネスの世界を「破壊」して一変させるとの信念だ。デロイトが最近実施した調査では、回答者の8割以上がブロックチェーンはいずれ広く採用されるだろうと答えた。

具体的にいつその時が訪れるのかは、謎のままだ。多くのベンチャーキャピタル(VC)はイニシャル・コイン・オファリング(仮想通貨による資金調達)に投資したが、昨年この市場が事実上閉鎖されて痛手を被った。しかしVCは現在、スタートアップ企業への出資に軸足を移すことで、仮想通貨への賭けをさらに拡大している。

上海のフェンブシ・キャピタルの共同経営者、レミントン・オン氏はあるフォーラムで、ビットコインなどの仮想通貨が根本的な価値を持つことが証明されるのは何年も先になると予想。「仮想通貨技術に何ができるかという話になると、今はほんの黎明期だ」と語った。

パンテラ・キャピタルの共同経営者ポール・ブロドスキー氏も、ビットコインは誕生以来何度か弱気相場に陥ったが、1年から1年半後には「必ず2.5倍に上昇している」と指摘し、長い目で見るべきだと強調した。

今週開かれた仮想通貨関連の会合では、株式から不動産、コモディティーズ、ゲームモデル、サプライチェーンまで、幅広い分野にブロックチェーン技術を応用する案が、スタートアップ企業や開発者から発表された。もっとも、大半は実現に何年も要するものだ。

一方、巨大企業はブロックチェーンを使ったアプリを導入している。例えばアマゾン・ウェブ・サービシズはオーストラリアの医療助言サービス向けにデータベースを構築中だ。しかし大半の巨大企業は、仮想通貨と結び付いた公共のものではなく、中央管理型のブロックチェーンを利用している。同様に、JPモルガン(JPM.N)が導入する仮想通貨は決済サービス用に使われる予定で、同社が権利を持つ資産ではない。

また一部の金融機関は、ブロックチェーンが近い将来、自社の伝統的なシステムに取って代わることはないと考えている。

アプリ開発者は今後数年間、仕事に追われて大忙しだろう。ブロックチェーンの「キラーアプリ」はいずれ登場するかもしれないが、投資家を今すぐ大儲けさせてくれることはなさそうだ。

●背景となるニュース

・仮想通貨とブロックチェーンの投資家や開発者が集まる「ブロックチェーン・ウィーク」が、ニューヨークで17日まで開催されている。

・ビットコインは16日の米東部時間午後に7850ドル前後で取引されており、前日比では4%下がったが、昨年末からは100%以上上昇している。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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